結婚生活20年以上の夫婦が離婚する「熟年離婚」の件数が、年々増加傾向にあることはご存じでしょうか?
熟年離婚の件数は1990年代より増加し、2022年の統計では全体の離婚事由のうち23.5%を占めるほどになりました。
その背景には、昔ながらの結婚に関する価値観の変化もあります。
また、インターネットの発達による出会いの増加による不倫なども原因と考えられます。
特に妻から離婚を切り出してきた場合、夫側に慰謝料を請求されるパターンが大半で、結婚期間が長い分請求される慰謝料も高額になる傾向が強いです。
この記事では、熟年離婚に見られる兆候や、その対策を探偵目線で解説します。
目次
ニュース概要
熟年離婚(同居20年以上での離婚)の割合が過去最高を更新する中で、浮気調査を長年手がけてきた探偵社からは、近年の傾向はどう見えているのだろうか。
(中略)
依頼者のほとんどは40~60代。数年前までは妻からの依頼が約9割だったが、最近は夫からの依頼が増え、今は約4割を占めるという。
現場での尾行や張り込み、相談員として計13年の経験を持つベテラン探偵の板東優子さんはこう分析する。
「昔は夫が外で浮気するというパターンが9割でしたが、最近は、妻が出会い系アプリで浮気していると夫が疑い、依頼してくるケースが増えています」
板東さんによると、40代後半の夫からの依頼で妻の浮気現場の証拠を押さえ、離婚訴訟では夫が子の親権を要求したケースがあったという。
熟年夫婦の浮気では、相手にも配偶者がいる「ダブル不倫」のケースが多いという。「相手が夫妻の友人だったというケースもあり、慰謝料などを巡り、泥沼化することもある」
引用元:女性探偵が語る「熟年不倫」調査 夫の依頼が増えた理由:朝日新聞(2024年12月22日)
熟年離婚の原因とは?
増加し続ける熟年離婚ですが、どのようなことが原因になって起こるのでしょうか。
熟年離婚を阻止するためには、まず原因となり得る事項を洗い出しておくことが先決です。
将来像の変化
50〜60代のような熟年期を間近に控えたタイミングで改めて自らを見つめ直した結果、将来像が変化して新しい道を踏み出すために離婚するという選択を取る方が多くなっています。
従来の世の中では「夫婦は一生添い遂げるもの」という価値観が当たり前になっていました。
しかし、価値観の多様化に伴い、自己実現を重視する風潮が強まった結果、夫婦関係の解消に至ることもあります。
夫婦のままでは行動が制限されてできなかったことにチャレンジしたいと思う意欲が、離婚の原因となるのです。
子どもの成長
夫婦生活の中でも大きなトピックとなるのが子育てですが、子どもが独り立ちして家を離れ、夫婦だけの時間が増えた結果、それまではなかった衝突が生まれるなどして離婚することもあります。
子どもが成長する前に離婚してしまうと子育てが大きな負担になってしまうため、子どもが成長するまで不満を我慢し続けてようやく離婚に踏み切るといったケースも多いです。
子育ての終わりは夫婦関係において一つの区切りであるからこそ、今後を考えた結果、離婚に踏み切るということもあるでしょう。
定年退職
定年を迎えるまでは働き続ける方が大多数ですが、定年退職後に夫婦が家にいる時間が増えると、それまではなかった衝突が発生して離婚に至る可能性も存在します。
定年退職後に夫がずっと家にいる状態だと、妻の心が休まる時間が生まれないというケースが考えられます。
また、家にずっといる夫が家事をまったくしないでいたり、家事に文句をつけてくるようなことがあればストレスは溜まる一方でしょう。
片方がお金を稼いで、もう片方が家のことをするという役割分担が変わったことに気付かず、今まで通りの振る舞いを続けると離婚の可能性は急上昇します。
介護
熟年離婚を考える原因には、夫婦それぞれの両親や夫婦どちらかの介護に関する問題も関係します。
介護の負担が夫婦どちらかに偏ったり、義理の親との関係が悪かったりする場合はストレスがかかり、夫婦生活の継続と介護がセットの場合は離婚事由になり得ます。
今後どれだけ続くかわからない介護への負担を考えた結果、逃げ場が無くなって離婚を選択するという事態も十分に考えられるでしょう。
不倫
50〜60代の間でも不倫が発生する可能性は十分に存在し、不倫が発覚して離婚になることも多いです。
特に近年は出会い系サイトやマッチングアプリなどで異性と出会う機会が急速に増加しており、家にいながらでも異性と出会うことができてしまいます。
そのため、夫婦で過ごす時間のかたわらでスマホを触り、他の異性とやり取りしている場合もあるでしょう。
熟年離婚の兆候は?
どのような変化にも必ず前触れというものは存在し、それは熟年離婚でも同様です。
熟年離婚の兆候にはどのようなものがあるか解説します。
夫婦生活の様子を、改めて観察してみてください。
新しい仕事や資格取得を始めた
特に妻側の動きとして多いのは、パートの仕事を新しく始めたり、資格を取得しようとするなどといったことです。
仕事をすることでお金を貯めて、離婚後に経済面で苦労しないようにする計画であったり、資格取得でより多くの収入が得られる仕事に就く狙いがあります。
これらの動きは離婚を念頭に入れた動きである可能性があるため、注意深く見るようにしましょう。
夫婦の会話が減った
夫婦の間で「最近話すことが減ったな」という感覚を抱く場合、夫婦関係の変化の兆しかもしれません。
一時的に口数が減ることならあるかもしれませんが、明らかに会話自体が減っている場合は、相手が意図的に接する機会を減らしていることも考えられます。
好意の反対は無関心といった言葉があるように、離婚を考えるほどになっているなら相手への興味をそもそも無くしているため、会話をする理由もないといった状態です。
会話の減少は気のせいではなく、明らかな変化として認識すべきでしょう。
携帯を触る頻度が増えた
夫婦で一緒に時間を過ごしているのにやたらと携帯電話・スマホを触ることが多い場合、目の前の相手ではなく画面上の何かに興味が移っている証拠と考えられます。
これは夫婦関係の低下を示すだけでなく、隠れて異性と連絡を取っている可能性も十分にある行為です。
最近はスマホのセキュリティも向上しているため、誰と連絡を取っているか確認するのは容易ではありません。
プライバシー保護の動きも強まっているため、あまり褒められた行いではありません。
熟年離婚のリスクとは?
もし熟年離婚に至ってしまった場合、その後どのようなことが待ち受けているのでしょうか。
このような可能性を回避するためにも、熟年離婚への対策を取る必要があります。
考えられる熟年離婚のリスクを把握しておきましょう。
心の拠り所を失う
長年連れ添ってきたパートナーが自分の元から離れてしまうことは、耐え難い精神的な苦痛を伴います。
今まで当たり前に近くにいた存在がいなくなってしまうだけでなく、まるで自分に関心を無くしたり怒りや呆れのような感情をぶつけてくることは、天国から地獄に突き落とされたかのような気分でしょう。
また、これからの人生も隣にいてくれると思ったにもかかわらず、その未来を一人で歩むことになる孤独感は言い知れないものがあります。
他にも、もし自分の体調が悪化しても支えとなる存在がいなくなるため、予後が思わしくなくなってしまうことも十分なリスクです。
慰謝料を請求される
精神的な部分だけでなく、経済的な問題としては離婚事由次第では慰謝料を請求されることです。
特に熟年離婚の場合は夫婦生活の時間が長かった分、精神的苦痛も長期間に渡って受けたと認定されることが多いため、通常の離婚よりも多くの慰謝料が請求される可能性があります。
そうなってしまうと離婚後の生活資金にも影響が出てしまい、老後の生活が困窮してしまうこともあり得るでしょう。
理想的な老後の生活を実現するためには、やはり熟年離婚を持ちかけられることは回避すべき問題です。
また、逆に相手に怪しい動きがあれば証拠を掴むことで、自分に優位な形での熟年離婚を実現できます。
そのためには、探偵など証拠集めのプロに依頼して熟年離婚につながる証拠を押さえて、自らに優位性のある熟年離婚を決定づけるのがベストです。
探偵はどう読む
離婚をする場合、協議離婚と法定離婚の二つのケースにわけられます。
協議離婚は当事者間の話し合いで離婚を決めるものですが、法定離婚には5つの条件があります。
- 相手の不貞行為があった
- 悪意で遺棄された(悪意を持って同居をしなかったり、生活費を渡さないこと)
- 配偶者の生死が3年以上明らかでない
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みもない
- その他婚姻を継続しがたい重要な事由がある
探偵は、これらの条件を立証するための証拠収集を行なうことが可能です。
熟年離婚にはさまざまなリスクがつきまといますが、当探偵事務所であればスムーズかつ確実に調査いたします。
ぜひ一度、ご相談ください。

執筆者:Kazuya Yamauchi
探偵調査歴20年。国内外の潜入調査、信用に関する問題、迷惑行為、企業や個人生活での男女間のトラブルなど、多岐にわたる問題を解決してきました。豊富な経験と実績を基に、ウェブサイトの内容監修や執筆も行っています。