警察は、事件解決のためにさまざまな手法を用いて捜査を行ないます。
公的機関でもある警察であれば、時には調査対象となる人の権利を制限してでも捜査を進めることが可能であるため、かなり強力な権限を持っているといえるでしょう。
しかし、警察のように調査を行なう存在として挙げられるのが「探偵」です。
探偵も事件解決のために調査を進める点では警察と似ていますが、扱う事件の性質や調査方法に違いがあったりします。
もちろん警察にしかできないこともありますが、時には探偵の方がスムーズに解決に向けた進展が可能な時もあります。
この記事では、警察の調査手法を解説した上で警察と探偵の違いを解説し、警察と比較しての探偵のメリットについても解説していきます。
目次
ニュース概要
The Tokyo Metropolitan Police Department said Monday that its undercover investigation identified last month a yami baito shady part-time job suspect.
It was the first time for police to detect a suspect under the investigation method introduced in January.The MPD’s First Criminal Investigation Division said the identified person is suspected of playing a part in an attempted scam case in the greater Tokyo area. The probe also uncovered the target of the yami baito job ring and prevented any actual damage from occurring.
The division declined to say when and where the suspect was detected and who the person is, as well as what the suspect was doing as a member of the ring and whether an arrest was made.
引用元:New police method reveals shady part-time job suspect – The Japan Times
警察の捜査方法にはどんなものがある?
警察の行なう捜査方法は、扱う事件の内容によってさまざまなものを使い分けます。
具体的にどのようなことを行なうのか、詳細な内容を紹介していきます。
実況見分
事件現場で事件当時の様子を再現する捜査方法は「実況見分」と呼ばれ、公共の場所も使用することから国家権力である警察だからこそできる捜査手法だと言えます。
時には事件の目撃者や関係者にも事件当時の動きを再現してもらったりするなど、多くの人の動きを確認することで事件の詳細の把握を目指します。
また、実況見分の内容をもとに調書を作成することで再現した事件の様子を公的な記録として残すことも目的の一つです。
任意同行
事件の容疑者とされる人物や事件の関係者の人から任意で話を聞く「任意同行」も、警察による捜査において代表的な手法です。
対象者に捜査に関係する内容について証言を求めるために、警察署まで同行を求めます。
名前にもあるように同行に応じるかはあくまで対象者の「任意」なので、任意同行を求められても拒否することも途中で帰宅を求めることも可能です。
これも対象者を一定の場所に拘束することになり、やはり公的な権限を持つ警察ならではの手法と言えるでしょう。
潜入捜査
警察の捜査での「潜入捜査」は、捜査員が自らの身分を偽って捜査対象の個人に接触したり、組織の内部に潜り込む捜査手法のことです。
正式な名称としては「身分秘匿捜査」となっており、自分自身が警察官であることを隠した上で捜査にあたるためこうした呼称がついています。
そして、近年増加する匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)やその影響による闇バイトに対応するために、形を変えた「仮装身分捜査」が実施されるようになりました。
「仮装身分捜査」も同じように潜入する形式の捜査ですが、少し違いがあります。
- 身分秘匿捜査…警察官という身分を隠して捜査する
- 仮装身分捜査…まったくの他人になりすまして捜査する
身分秘匿捜査ではあくまで警察官であることだけを隠しての捜査でしたが、仮装身分捜査では警察官が偽の身分証を作ることが認められたため、闇バイトのような身分証の提出が必要な組織にも潜入が可能となりました。
警察の捜査も時代の変化に応じて柔軟な対応を行なっていることがわかります。
尾行・張り込み
捜査の対象者の動向を調べるために、隠れて対象者を追いかける「尾行」や対象者のいる場所の周辺に滞在して様子をうかがう「張り込み」も警察の捜査では行なわれます。
これらの「尾行」「張り込み」によって事件に関係する行動の決定的な証拠を掴んだり、すでに逮捕状が出ている場合は逮捕のタイミングを待ち構えることがあります。
一般人が行なうとストーカー規制法に抵触して処罰の対象になる行為ですが、警察官には捜査の一環という名目上認められています。
しかし、プライバシーの過度な侵害が認められた場合には、当然警察官と言えども処罰の対象です。
警察の捜査と探偵の調査の違いは?
警察と同じように調査を行なう存在が「探偵」です。
探偵でも警察の捜査と同じような手法が取れる場合がありますが、その違いはどこにあるのでしょうか。
調べる動機・目的の違い
警察の捜査と探偵の調査で決定的に違う点は、調査の目的にあります。
- 警察…犯罪の防止と解決、それに伴う被疑者の逮捕
- 探偵…個人の依頼の達成
警察の捜査には発生した犯罪事件を解決するという社会的な意義があり、それによって社会全体の治安を守ることが目的です。
探偵は個人からの依頼によって調査を実施し、主に浮気・不倫の証拠集めや行方不明となった人探しといった民事上のトラブルに関与することが大半といえます。
探偵に刑事事件を解決するだけの権力はありませんが、逆にいえば警察にも浮気や不倫といった民事事件に介入する権限はありません。
調査員の持つ権限の違い
警察には法的な権限が与えられることがあり、例えば逮捕状が出されたら対象者の身柄を強制的に拘束できたり、証拠となる物品の回収が可能です。
こうした他者の権利を制限・規制するような行為も、正当な理由があれば行なうことができます。
対して探偵は職業の一種であるため調査員は単なる一般人であり、警察のように個人の権利を制限・規制するような行為ができる権限を持ち合わせてはいません。
しかし、探偵という職業を規定する法律「探偵業法」によって本来であればストーカー規制法の対象である尾行・張り込み・聞き込みが可能です。
このことから、純粋な一般人よりは探偵に認められている権利が多いのは確かです。
共通して行なえること
以上のことをふまえると、警察と探偵が共通して行なえることも見えてきます。
- 尾行
- 張り込み
- 聞き込み
- 潜入調査
潜入調査がこれまで警察に難しいと言われていた理由は、身分を明かすことで警察だと捜査対象者に知られるリスクを警戒してのことでした。
そのリスク解消のためには偽の身分証を使用する必要がありましたが、警察の規定が変更されたことで身分を偽っての潜入調査が可能となったのです。
しかし、探偵はそもそも一般人なので探偵として大々的に名前が出ている場合を除けば身分が知られる可能性は低いので、潜入捜査のハードルはむしろ警察よりも低い部分があります。
このような点からも、調べたい内容によっては警察と探偵それぞれに得手不得手があることもわかるでしょう。
調査を警察よりも探偵に依頼するメリット
解決したい事柄がある場合、その調査を警察ではなく探偵に任せた方がいい時も多いにあります。
では、警察よりも探偵に調査を任せるメリットとしては何があるのでしょうか。
自分の調べたいことを調べてもらえる
何か困りごとがあった場合に警察を頼ることも選択肢の一つですが、刑事事件につながるような事件性の低い私的なトラブルには警察も対応してくれません。
また、行方不明者探しのような事件性もありそうな内容であっても、その時の警察の状況次第では他の重大事件の捜査に人員が割かれて捜索が進まないこともあるでしょう。
しかし、探偵であれば警察では引き受けてくれない浮気・不倫や名誉毀損といった民事上のトラブル解決に向けた調査を行なってくれます。
費用こそかかるものの、逆に費用さえ捻出できれば調べたい内容に対して納得できるまで徹底的に調査してくれます。
民事裁判に向けた証拠を作れる
探偵は調査後に報告書を作成して依頼者に渡してくれますが、この報告書は裁判において証拠能力を有する資料となります。
一般的に刑事事件の裁判よりも民事事件の裁判の方が賠償金が高額になる傾向があり、しっかりとした証拠を準備してどれだけの損害を受けたか立証できれば高額の賠償金を受け取れる期待も持てます。
また、弁護士と提携している探偵であれば調査で集めた証拠をより詳細に裁判に活かすことが可能です。
裁判まで手厚くバックアップすることは、警察にはできません。
探偵はどう読む
探偵は事件性の有無に関わらず調査を行うことができ、調査の結果をまとめた調査報告書は、法的に有効なものになります。
この調査報告書を警察に提出することで、本格的な捜査に乗り出す可能性もあります。
探偵は警察や弁護士への橋渡しを行うことも可能なため、「証拠がないから捜査してもらえなかった」「この証拠が必要と言われた」といった場合でも対応いたします。
当探偵事務所では、24時間365日お問い合わせを受け付けております。
安心してご相談ください。

執筆者:Kazuya Yamauchi
探偵調査歴20年。国内外の潜入調査、信用に関する問題、迷惑行為、企業や個人生活での男女間のトラブルなど、多岐にわたる問題を解決してきました。豊富な経験と実績を基に、ウェブサイトの内容監修や執筆も行っています。