近年「リベンジ退職」が話題になっています。
リベンジ退職とは、職場環境や待遇に不満を持った従業員が、報復的な意図を持って退職することを指します。
その実例として、管理職がわざと給与明細を公開して辞職するという事案が発生しました。
給与明細が公開されたことにより、会社全体の士気が下がったと言います。
果たして、このようなリベンジ退職が行われた場合、会社側から従業員に対して損害賠償請求を行うことは可能なのでしょうか。
本記事ではリベンジ退職や退職代行による会社の損害や、損害を立証する難しさについて解説していきます。
目次
管理職が給与明細を公開して辞職

先日、「リベンジ退職が増加している」とのニュースに関連して、X上で、その実例として「全体掲示板に退職のあいさつと共にその人の今までの給与明細が貼られてた(管理職)」「給与の低さにびっくりして会社全体の士気がダダ下がりしたという」と紹介され、話題になっていた。
忙しそうに働く上司や激務に苦しむ管理職の給与が自分と大差ないと知れば、「仕事量だけ増えて手取りがほとんど変わらないなら、平社員のままでいい」と出世への意欲を失うのも無理はない。転職を検討する社員が出てくる可能性もあり、企業にとっては看過できない問題といえる。
(中略)
冒頭で紹介した投稿では、管理職の社員が退職時に自らの給与明細を公開した結果、会社全体の士気が低下したとされている。
士気やモチベーションは目に見えない抽象的な概念だが、こうした行為が企業に対する具体的な損害と評価される場合はあるのだろうか。また、もし損害と認められるなら、会社は給与明細を公開した(元)社員に対して損害賠償を請求できるのだろうか。引用元:YAHOO!JAPANニュース|管理職が「給与明細」公開して辞職→“報酬の少なさ”に社内は騒然…会社に“わざと”混乱与える「リベンジ退職」法的リスクは?(2025年11月17日)
会社が損害賠償請求を行うことができる事例

リベンジ退職に伴う損害賠償は、退職行為自体では原則として請求できません。
従業員は雇用契約を締結していたとしても、職業選択の自由が保障されており、その一環として退職の自由も保障されているためです。
しかし、従業員が故意に会社に損害を与えた場合、損害賠償請求を検討しなければならなくなります。
本章では、損害賠償請求にあたる行為について解説していきます。
社内データの削除・持ち出しをした
従業員によって会社の管理下にあったデータを削除された場合、電子計算機器損壊等業務妨害罪に問える可能性があります。
電子計算機器損壊等業務妨害罪とは、他人が業務で使用するコンピュータや記録媒体に対して、損壊行為や虚偽情報の入力などを行い、業務を妨害することを指します。
たとえ、社内にバックアップデータがあり、復元可能であっても、データを消去した時点で業務を妨害する可能性があると評価されれば犯罪は成立します。
民事上の責任は、故意または過失によりデータを消去したことにより発生した、業務上の損害の請求を行うことができます。
また、営業秘密(企業が事業活動を行う上で有用な情報のこと)の持ち出しは、不正競争防止法違反に該当し、刑事告訴の対象となる可能性もあります。
引継ぎをせずに退職をした
退職を申し出た従業員が、後任に一切の引継ぎをせずに突然退職をするケースです。
従業員が退職する際に、業務の引継ぎを行うことは、会社に対する信義則上の義務(民法の基本原則のうちの一つ)であると考えられます。
そのため、従業員が一切の引継ぎを行わずに退職をした結果、業務に損害をもたらした場合は、損害賠償請求をすることができる可能性が高まります。
無断欠勤によって出社を拒否した
退職の意志を表明してから無断欠勤をし、出社を拒否することは、従業員による債務不履行になります。
それに対して会社は、損害賠償請求をすることが可能な場合があります。
ただし、2週間残存していた有給休暇を消化する場合はその限りではないため、出社を拒否しているからと言って損害賠償請求を行うことができるとは限りません。
他の従業員を引き抜いた
退職前に他の従業員に対して引き抜きという不法行為をした従業員には、損害賠償請求を行うことができる可能性があります。
会社に在職している限り、従業員は会社に不利益なことをしてはならないという義務が課せられているからです。
会社の従業員を一斉に退職させて、大きな不利益をもたらしたケースなどが該当します。
SNS等で誹謗中傷をした
SNSでの誹謗中傷とは、会社の内部情報の暴露や、上司・同僚・部下の悪口の書き込みをされるといったケースになります。
誹謗中傷は、悪口や根拠のない嘘等を言って、他人を傷つける行為のことです。
名誉棄損が成立すると、民事では不法行為による損害賠償の対象となり、刑事事件としては刑事罰の対象にもなる行為になります。
名誉棄損は個人だけでなく、会社にも適用され、信用毀損罪・業務妨害罪に該当する場合もあります。
リベンジ退職が会社に及ぼしうる影響とは

従業員によるリベンジ退職によって、企業に及ぼす影響やリスクは主に以下の3つです。
- 業務の停滞
- 騎乗イメージの低下
- 採用・育成コストの増加
それぞれ詳しく見ていきます。
業務の停滞
リベンジ退職が会社に及ぼす影響として一番に考えられるのは、データ削除や引継ぎの拒否による業務の停滞です。
退職代行を利用する場合もあり、残された従業員が突然の退職者の対応に追われる可能性もあります。
会社になんらかの恨みや不満がある場合、あえて繁忙期を狙って退職するなどといったケースも考えられます。
企業イメージの低下
会社に恨みを持った従業員による、SNSでの社内事情の暴露が行なわれた場合、企業のイメージが低下しかねません。
暴露情報が炎上してしまうことによって、「あそこの会社はブラックだ」「情報リテラシーのない従業員を雇っていたんだ」というようなレッテルを貼られてしまうのです。
採用・育成コストの増加
新たな従業員を雇うための採用・育成コストがかかってしまうほか、リベンジ退職をされたことによる損失も回復しなければなりません。
残った従業員はそれらの対処を行わなければならず、疲労や不満が溜まり、あらたなリベンジ退職者を生む可能性もあります。
会社への損害の立証は難しい

損害賠償請求が認められるには、以下の3つのポイントが必要です。
- 従業員の退職について、従業員側に故意または過失による加害行為があること
- 従業員による加害行為によって、会社に重大な損害が発生していること
- 従業員による加害行為や、その行為によって会社に損害が発生したことを会社側が客観的に立証できること
リベンジ退職による損害賠償請求を行うことは可能ではあるものの、いくら損害が発生したか客観的に立証しづらいというのが難しいところです。
リベンジ退職による損害賠償請求について探偵はどう見る

前述したとおり、リベンジ退職による損害を客観的に証明することは難しいですが、当探偵事務所であればこういった証拠収集を行うことができます。
証拠となるのは以下のようなものです。
- PCや社用携帯などのアクセスログ
- サーバーの操作履歴
- SNSの書き込み
- 従業員とのやり取り
上記のような、従業員が故意・過失によって損害を与えたことを立証するための客観的な書類が必要になります。
こうした証拠はデジタルフォレンジック調査によって、収集することが可能です。
証拠を揃えてはじめて、法的対処に乗り出すことができます。
リベンジ退職によって損害を被った場合は、お早めにご相談ください。
リベンジ退職者を続出させないための、根本解決方法もお伝えしますので、ご安心ください。
ファミリー探偵事務所は、24時間365日お問合せをお待ちしております。

執筆者:Kazuya Yamauchi
探偵調査歴20年。国内外の潜入調査、信用に関する問題、迷惑行為、企業や個人生活での男女間のトラブルなど、多岐にわたる問題を解決してきました。豊富な経験と実績を基に、ウェブサイトの内容監修や執筆も行っています。


















