- 業務上横領のタレコミがあったが証拠がない
- 事実確認したいけどどうすればいいんだろう
- 証拠をみつけたけどこの後はどうすればいい?
上記のような悩みや疑問があると思います。
証拠がないまま問いただしても、隠滅される可能性が高いです。
横領は、会社の大小に関わらず気づかないところで日常的に行なわれている可能性があります。
社員が社内不正を起こし、横領などの罪で逮捕される事件が後を絶ちません。
それは犯罪であると同時に、問題を放置していると会社の信頼や経営にダメージを与える危険があります。
今回は、業務上横領が発覚した場合に会社がとるべき対応と、早期解決のためのポイントについて解説。
- 業務上横領の証拠の集め方
- 解決手段
- 対処法

執筆/監修者:山内 和也
2023年2月26日
目次
業務上横領の証拠の集め方
業務上横領が発覚した場合、事件の解決方法や本人の処分方法に関わらず、共通して重要なことは証拠を集めることです。
社内で少しでも怪しいと感じたことは全て記録しておきましょう。
本人に気づかれずに調査を進める
証拠集めの調査を進めるにあたり、最も気をつけたいのは本人にばれないようにすること。
犯人に調査がばれてしまうと、証拠隠滅を謀ったり逃亡し行方不明になる可能性が高まります。
また、疑いがある社員の身辺調査から状況証拠を取らなければいけない場合、自力調査では難しい部分が多いのが現状です。
疑いのある社員の身辺調査や監視・捜索を必要とするときには、調査の専門家である探偵に相談することをおすすめします。
証拠隠滅やデータ改ざんに注意
業務上横領は職権を悪用しているケースが多いです。
上記のような場合は、証拠集めが難航することも多いため、経理のプロである税理士などに協力を求めて調査を進めると良いでしょう。
横領の犯人が特定できない場合は
不正の事実は掴めたものの犯人が特定できないという場合、企業内調査の豊富な実績を持つ探偵事務所に相談するという方法もあります。
探偵事務所の調査員は、情報や証拠収集および潜入調査のプロなので、本人に気づかれずに確かな証拠を掴むことが可能となります。
業務上横領の定義と事例
業務上横領とは具体的に何が該当するのか、業務上横領罪の定義と構成要件、また事例について解説します。
業務上横領の定義とは
要件は、次のとおりです。
- 業務性
- 他人の物であること
- 委託信任関係に基づく占有
- 横領(自己や第三者のために不法に領得すること
業務上横領罪の事例
具体的には次のような例が挙げられます。
- レジ金を着服していた
- 必要経費を虚偽申告し、差額を着服していた
- 会社で管理している郵便切手を不正に持ち出し、換金していた
- 顧客から集金した現金を着服し、会社には未収金で報告していた
- 取引業者に架空の請求書を発行させ、会社の支払い分を自分の口座に送金させていた
- 会社の商品を勝手に持ち出して、フリマアプリやオークションで販売して利益を得ていた
第三者からみても明らかに会社の所有物や財産を自分のものにしたり、利益を不当に横取りする。
または、換金し着服するなどの行為が業務上横領に該当します。
業務上横領に気づいたときの対応方法
企業にとって、従業員による横領は会社の重要な財産を奪う脅威です。
しかし、対応方法や相談先を間違えると取り返しのつかない結果となることがあります。
横領が発覚した場合、早期解決へ向けて会社としてはどのように行動すべきなのでしょうか。
業務上横領を疑う根拠と証拠を集める
最初にやるべきことは、横領の事実確認です。社内での然るべき初動は次のとおりです。
可視化できる証拠は形として残す
例えば、以下の物です。
- 領収書
- 帳簿履歴
- 不正な送金履歴
- 不適切な請求書
本格的な調査を行なう場合の手がかりにもなるため、全て保管しておきましょう。
他の社員からの証言や密告の録音
業務上横領が発覚するきっかけのなかには、社員による密告があります。
もちろん、密告だけでは事実かどうかは判断できません。
社員の証言は同じく本格的な調査の手がかりとなりますので、詳細の聞き取りを行ない、なるべく録音しておくようにしましょう。
横領が疑われる社員の監視
横領が疑われても証拠が揃うまでは、該当の社員を問いただしたり、本人に事実確認をとるのは避けた方が無難です。
本人が証拠隠滅を図ったり、データや書類の改ざん、また逃走して行方不明になったりする可能性があるから。
しかし、そのまま放置してはいけません。
証拠を揃えるまでは、業務を複数人体制にするなどして不正を防止マークしていることを気づかれないように「監視」するようにしましょう。
第三者機関に相談する
社内調査で横領の疑いが深まった場合は、次に第三者機関へ相談します。
業務上横領に対する一般的な対応としては、以下の2つの方法があります。
- 刑事事件として業務上横領罪で社員を訴える
- 民事事件として損害賠償請求で訴訟を起こす
それぞれ、警察と弁護士に相談することになります。
企業の方針によっては、刑事責任や民事責任を問うことなく「懲戒処分」「示談」なども考えられるでしょう。
最終的にどのような対応をするにせよ、解決の要となるのは相手が言い逃れできない証拠を掴むことです。
更に、疑わしい社員の行動の監視や、仮に逃亡した場合でも探し出して居場所を把握することも重要になります。
これらの証拠集めや、社員の行動監視にはプロのノウハウを持つ探偵事務所が役立ちます。
- 刑事事件として、業務上横領の可能性を警察へ相談
- 立件のための証拠集めや社員の監視を探偵事務所へ依頼
- 民事事件として、業務上横領に関する相談役として弁護士へ依頼
十分な証拠を揃えた上で本人を問いただす
上記の流れで、証拠を揃えたら、いよいよ本人を問いただします。
このとき、事前に会社側がある程度の対応方針を決めておくと、本人との話し合いの後に最終的な結論を出しやすくなるでしょう。
業務上横領の解決手段
社員の業務上横領の事実が確定し、本人も罪を認めた場合、実際どのように対応方針を決めればよいのか迷うこともあるでしょう。
考えられる解決手段についてそれぞれの特徴やメリットを交えて解説します。
示談による解決
横領事件を公にすることなく社内で解決できることと、被害額を回収できる可能性が高いこと
企業としてまず優先したいのは、自社を守り被害額を回収することです。
もちろん、業務上横領は犯罪ですので、刑事告訴も一般的な手段となります。
一方で、逮捕されると本人に支払能力がなくなり被害額の回収が困難になる可能性が高いです。
刑事告訴ではなく当事者間での話し合いで解決する示談という方法が選ばれることが多い
ただし、本人の支払能力の問題から全額回収が困難な場合もあるでしょう。
確実に被害額を回収するためには、必要に応じて連帯保証人を付けたり、公正証書を作成したりなどの対策を講じる必要があります。
民事訴訟による解決
業務上横領事件は、被害を公にすることなく被害額を回収できる可能性が高い示談での解決が選択されることが多いです。
示談で解決できなかった場合や、被害金額が大きかったり、本人が横領の事実を認めない場合に、民事訴訟を起こすケースも
民事訴訟で和解が成立した場合に作成される和解調書には、「判決と同様の効力」があります。
和解調書の内容が守られなかった場合には、強制執行も可能に。
刑事告訴による解決
大企業で巨額の横領事件が起きた場合には、株主に対する説明責任の観点から、ほとんどの場合刑事告訴をします。
ただし、刑事告訴となるとメディアを通じて事件が表沙汰になるため、企業イメージや顧客からの信頼を失くすリスクがあります。
刑事告訴は企業側に与えるダメージが大きいため、なかには大企業であっても、まずは犯人に全額一括返済を促すことも。
約束通りに返済された場合は、刑事告訴しないという選択をすることもあります。
被害届が出されても、逮捕するか否かは警察の判断次第で、逮捕されずに在宅起訴となる場合もあります。
業務上横領の処分について注意すべきこと
業務上横領を犯した社員については、社会的制裁の他に、就業規則によって懲戒処分などを検討することになるでしょう。
ここでは、社員の処分に関する注意点についてご紹介します。
懲戒解雇・論旨解雇(ゆしかいこ)の考え方
業務上横領が発覚した場合、企業の就業規定により、当人は懲戒解雇処分となる場合が多いです。
ただし、以下のリスクが高まるため注意が必要です。
懲戒解雇をすると再就職に大きな影響があるため、結果的に被害金額を回収できない可能性が高まるリスク。
そのようなデメリットを回避するために、「論旨解雇」も選択肢の一つに。
企業側と本人の双方が納得した上で本人から退職届を提出してもらうという方法
論旨解雇の場合、履歴書に「自己都合退職」と記載できるため、再就職しやすくなり、結果的に資金回収の可能性が高くなるというメリットがあります。
解雇予告や退職金に関する注意点
業務上横領が発覚した場合、該当社員は即解雇したいところ。
ですが、下記の義務があるので注意が必要です。
ただし、この解雇予告手当は、労働基準監督署へ解雇予告除外認定申請を行うことで、支払いを免除することができます。
退職金については、懲戒解雇の場合は支払わないケースが多い。
論旨解雇の場合は、逆に支払うことが多いようです。
これは、就業規則にどのように定めているかにもよりますので、今一度自社の規定を確認し、必要に応じて改正を検討することをおすすめします。
業務上横領の予防策
業務上横領を予防するために最も重要なことは不正ができないような環境を作ること。
また、横領は周囲の社員が異変に気づいて発覚するケースが多いです。
社員が安心して内部告発できる制度を設けることも大切です。
不正ができない環境作り
業務上横領に手を染めてしまう社員は、中堅以上の役職についている場合が多い。
特に中小企業で経理業務全般を任されている人物は、一人きりで下記の業務を行なっています。
- 請求業務
- 入金業務
- 経費精算チェック
- 預金口座や金庫の管理
会社の資金を自由自在に動かすことが可能。
結果、下記のような負のループにはまるケースも。
誰にも気づかれずに業務上横領ができてしまう環境は、善人をも犯罪者に変えてしまう可能性があります。
企業側はそのことを認識し、不正ができない環境を整える必要があります。
- 経理業務は分担
- 第三者がチェック
- 定期的に外部の税理士がチェック
内部通報制度の導入
先に述べたように、業務上横領は、ある程度決済権のある中堅以上の役職をもった社員が手を染めやすいです。
部下が不正に気づいて発覚するケースも少なくありません。
その場合、部下の立場では、上司の報復を恐れて告発をためらう可能性もあります。
気づいた者が安心して内部の不正行為を告発できる環境を整えることも非常に重要です。
そのためには、通報者が特定されないよう、厳格に秘密保持が約束される制度を設ける必要があります。
業務上横領に関する無料相談窓口
気軽に相談できる無料相談窓口
業務上横領などの社内不正の専門家が問題解決に必要な調査・情報の種類などをアドバイスさせていただきます。
社内で起きている業務上横領のご相談やご質問はお任せください。
業務上横領の対処に関しては、証拠の収集の他、法分野の知識、経理や企業会計に関する素養など、多岐にわたる知識が必要です。
社内で業務上横領の事実が発覚した、若しくはその疑いを持った場合は、早期に専門家へ相談しましょう。
必要に応じて、弁護士や警察への連携も行なっておりますので、調査から問題解決までのトータルサポートが可能です。
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