現代社会の問題の一つ「引きこもり」は、全国で100万人以上ともいわれています。
最近では、ひきこもり状態に置かれている人も高齢化し、40歳以上の年齢層も増えたことから若者だけの問題ではなくなりました。
80歳前後の両親が、50歳前後のひきこもりの子を養うのが難しくなり、家庭崩壊や、親子間で殺人事件が起きるなどの「8050」問題とも併せてクローズアップされています。
こうした社会背景から、引きこもりの子どもを強引に外に引き出す、「引き出し屋」なるビジネスが横行しています。
この記事では、
「引き出し屋」の実態とトラブルについてご紹介します。
目次
「引き出し屋」とは
「引き出し屋」とは、主に不登校やひきこもり、就労経験のない若者を自宅から連れ出し、
自立支援を名目に寮や施設に入所させる事業者のことを指します。
表向きは更生や社会復帰の支援団体として活動しており、
株式会社や一般社団法人、NPO法人といった形態で運営されているケースが多く見られます。
実際に、真剣に支援を行っている団体も存在します。
しかしその一方で、「引き出し屋」の名称を悪用し、
暴力的かつ強制的に本人を連れ出す反社会的勢力や詐欺グループも存在しているのが現実です。
たとえば、親からの依頼を受けて本人の同意を得ないまま部屋に押しかけ、
強引に施設へ移送する──こうした拉致に近い手法が問題視されています。
入所先となる寮や施設の中には、
監視・拘束・暴言・暴力など、事実上の人権侵害や監禁行為が行われている例も確認されており、
SNSや報道を通じて「脱出したい」「家族に会わせてくれない」といった被害の声が急増しています。
厚生労働省もこうした団体に対し注意を呼びかけており、
今や「引き出し屋」は支援か、それとも人権侵害かという社会的議論の渦中にあります。
悪質な「引き出し屋」の実態
実際にあった二つの実例をご紹介します。
誓約書を見せられ「お前に人権はない」
見知らぬ複数の男性から、拉致同然に自宅から引きはがされ、クルマに押し込まれた。この「引きこもり」の人が連れていかれた施設とは、外から施錠され、監視役や防犯カメラで常に見張られる環境。
しかも、携帯電話・スマホも没収され、外部との連絡も一切遮断された、まるで“監獄”のような部屋だったのです。
「支援施設」とは名ばかりの、あたかも“強制収容所”のような扱いですが、施設からの外出を求めると、親が署名・捺印した「誓約書」とともに「保護者代理人資格証明書」「自殺免責同意書」「返金不能同意書」といった書類を見せられ、「お前に人権はない」と吐き捨てられ、全ての自由が奪われました。
仮に、施設で暴れたりなどしたら、施設に雇用された精神科医によって、説明も同意も必要なく精神病院の緊急措置入院させる旨も記されています。
実際、こうした施設から脱走した人が、その後、高速道路のうえに架かる橋から飛び降り自殺した事件もありましたが、事件の真相は闇に葬り去られています。
親心に付け込む悪質なビジネスモデル
支援団体をうたったこのような「引き出し屋」に、子の身柄を引き渡し、自立支援・社会復帰につなげようという親心に付け込む、あまりに悪質なビジネスモデルといえます。
相談を持ち掛けたが最後、施設側から「お子さんを救えるのは我々だけ。放置すれば犯罪者予備軍になりかねません」と説得され、半ば強引に契約を結ばされます。
その後、請求された金額はなんと半年間の契約で約500万円。あまりの高額に驚くばかりか、「半年で更生は無理。さらに支援が必要です」と、さらなる契約更新を持ち掛けてきたのです。
施設の悪質極まりない実態と、親の心に付け込む高額請求のトラブルによって、この家族に残されたものは、家族間の断絶と約500万円の請求書のみでした。
この一連のでき事により、当人は施設から戻った後、さらに引きこもるようになり、社会復帰は遠くなってしまいました。
引き出し屋によるトラブル
引きこもりの人を強制的に外に出して自立を促す行為は、法的にはさまざまな問題が生じる可能性があります。
人権侵害
強制的に外に出すことが個人の自由権やプライバシー権を侵害する可能性があります。人権侵害には損害賠償や法的制裁が伴うことがあります。
強制的な拘束
他人を強制的に外に出すことは、不当な拘束に該当する可能性があります。不当な拘束は法的に問題視され、刑事罰や損害賠償が課されることがあります。
脅迫または恐喝
強制的な手段を用いて他人に外出を強要する行為は、脅迫や恐喝に該当する可能性があります。これには法的な罰則がある場合があります。
侵入
他人の住居やプライバシーに無断で侵入する行為は、侵入罪に該当する可能性があります。
暴行や傷害
強制的な手段が暴行や傷害につながる場合、これに対して法的責任が問われる可能性があります。
真の自立支援とはなにか
「働くこと」「学校に行くこと」が解決なのか?
こうした悪質な“自称”自立支援団体に関われば、問題の根は深くなるばかりで、
親子関係や家族の断絶を招くばかりか、当事者にはPTSDなどの心の傷、最悪、自殺に及びかねません。
引きこもりの当事者は自分が生きていることの価値を見つけられていないことが最大の問題点です。
まずは、引きこもっている当事者に「生きているだけで価値がある」ということを教えてあげられることが先決なのではないでしょうか。
それは、「就労してお金を稼ぐこと」や「教育を受けて知識を増やすこと」よりも、ずっと大事な、人間としての存在価値なのです。
当事務所が行なう被害実態調査
探偵は、引き出し屋の背景や資格、経歴を調査することができます。これにより、その人物や組織が適切な訓練を受けており、倫理的な基準に沿って活動しているかを確認できます。
引き出し屋の活動に関して、適切な方法で行われているか、法的・倫理的基準に違反していないかを監視することが可能です。これは、ひきこもりの人々の安全と権利を守るために重要です。
過去に引き出し屋のサービスを受けた人々やその家族からの情報を収集することができます。これにより、サービスの効果や問題点を詳しく知ることが可能です。
調査結果に基づき、引き出し屋の活動に関する詳細な報告を行い、必要に応じて改善策や対策を提案することができます。
探偵によるサポート内容
「引き出し屋」の被害は、家族や周囲からは気づかれにくく、本人も声を上げられないケースが多くあります。
当事務所では、被害の実態を客観的に調査し、証拠として残すためのサポートを行っています。
- 施設の外観・周辺環境の撮影・記録
- 関係者や元利用者への聞き込み調査
- 監禁・暴力・拘束などの事実確認
- 証拠写真・映像の収集および報告書作成
- 弁護士・警察と連携するための資料提供
強制的な拘束や人権侵害が疑われる場合、第三者による記録や証拠が非常に重要になります。
ご本人の安全を最優先に、法的な観点からも対応可能な形で調査を進めます。
「まずは状況を把握したい」「契約した団体が信用できるか確認したい」
そんな段階からでもご相談を承っております。ご家族や関係者の方も、お気軽にお問い合わせください。
引き出し屋に関する相談窓口
お子様のことで心を痛め、心身ともに消耗し、誰かの助けを求めることは現状を変えたいという親心だとおもいます。
その親心につけ込んで、さらに家族関係を悪化させ、引きこもりになっているお子様をおいてけぼりにした強引な引き出しは、結果的によりその傷をえぐることになるかもしれません。
もし、ご家族だけでは解決できない状況にお困りでしたら、まずはご相談いただくことが大きな一歩になります。
無料相談を24時間承っておりますので、いつでもお気軽にお問い合わせくださいませ。ご連絡お待ちしております。
よくある質問(Q&A)

Q. 引き出し屋はすべて違法なのですか?

A. すべてが違法ではありませんが、本人の同意がない強制的な連れ出しや、施設内での拘束・暴力などがあれば違法行為に該当します。慎重に見極めが必要です。

Q. 家族が勝手に契約した引き出し屋、取り消せますか?

A. 本人が成年である場合、同意がなければ契約は無効となる可能性があります。被害状況によっては損害賠償請求も可能ですので、法的助言を受けましょう。

Q. 引き出し屋の施設から逃げたいと連絡が来た場合、どうすれば?

A. すぐに居場所を確認し、警察や弁護士、探偵など第三者の支援を得て対応することが重要です。状況次第では緊急保護や調査が必要です。

Q. 引き出し屋を利用した親が罪に問われることはありますか?

A. 本人の意思を無視し、違法な拘束や暴行に加担していたと判断されれば、刑事責任や損害賠償責任を問われる可能性があります。

Q. 探偵にできる「引き出し屋」への調査内容はどこまで可能?

A. 実態調査・施設の環境確認・関係者の聞き込み・監視体制の記録などが可能です。ご家族の代理での接触や情報収集も対応いたします。

執筆者:Rita Hayes / リタ・ヘイズ2025年7月17日
教育業界で10年以上の経験を積んだ後、2023年4月FAM Investigation入社。海外事業部の立ち上げと責任者としての運営を担当。入社当初から、国際調査体制の構築やグローバルパートナーシップの形成に尽力し、同社の国際展開を牽引している。
専門分野は、OSINTを活用したオンライン調査、潜入、尾行、張込みなどのフィールド調査、海外調査案件のマネジメント。
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