現在、警察に「行方不明者届」がなされた行方不明・家出人は年間8万人にも上ります。
バブル崩壊直後には、年間10万人を超えていたことを鑑みると、一見減っているように感じますが、誰しもが経験のない「コロナ禍」。
そして今後、長期化が予想される「コロナ不況」によって、困窮する人が急増し、経済的・精神的な理由で、この数字が再び、バブル崩壊後の状況に戻ってしまう懸念が大きくなっています。
ここでは、家族など身近な人が家出した場合の対処法から、行方不明・家出人の動機や行動パターン、その対策に至るまで、ケース別に解説していきます。
身近な人が家出したときの対策
2022年5月20日
目次│身近な人の家出調査のご案内
「行方不明者」「家出人」の定義
成人が自らの意思を持って失踪した「一般家出人」の場合、警察に行方不明者届を出したとしても、「緊急性なし」と判断され、積極的な捜索活動をしてもらえない場合がほとんどです。
しかし、家出人が未成年である場合や、犯罪に巻き込まれた可能性、自ら命を絶つ可能性など、緊急性がある場合は「特異家出人」と判断され、警察も手配や公開捜査など、積極的に捜索します。
防犯カメラやNシステムなども活用され、本格的な捜索活動がなされます。
ちなみに、警察に行方不明者届を提出し、家出人捜索願の申し立てができるのは、保護者・配偶者・親族・監護人に限られるとされており、血縁関係のない友人や恋人(同居や同棲をしていたとしても)、家出人の家族に連絡したうえで、警察に届け出してもらいことが必要となります。
国家公安委員会が定める「行方不明者発見活動に関する規則」によれば、「生活の本拠を離れ、その行方が明らかでない者であって、行方不明者届がなされたもの」との定義があります。
加えて、「氏名、住所、年齢、性別、身体的特徴」「行方不明となった日時、場所、状況」「行方不明となった原因、動機」「行方不明者が発見された場合の届出人の意思」などを明確にする必要があり、これらに当てはまらない行方不明も相当数あると考えられるのです。
家出・行方不明になる原因
どんな人が家出・行方不明になるのか
警察庁は公表している行方不明者のデータによると、男女別では、男性が約64%、女性が約36%と、男性の割合が高く、年代別では、20歳代が最も多いものの、70歳以上が増加傾向にあり、若年齢層の貧困化と、高齢化社会が進む社会背景を裏付けるものとなっています。
家出の動機は「病気」「家族問題」「仕事」「イジメ」などさまざまです。
原因・動機別でみると、「疾病」が年々増加し約28%と最も多くなっており、このうち認知症かその疑いによるものは約20%にも上り、徘徊老人の問題が顕在化してきたともいえます。
これに次いで、「家庭」を原因としたものが約17%、「仕事関係」を原因としたものが約12%となっています。
子どもが家出・行方不明になった場合
“そのうち帰ってくる”と悠長に構えるのは危険
子どもがが家出する理由は多様化していますが、共通していえるのは親子関係からくる心理的ストレスにより、「ここに居場所はない」と感じてしまうことが動機となってしまうことでしょう。
この場合、家出した当人と、家出された家族では事の重大さに齟齬が生じ、覚悟して家出したにもかかわらず、家族は“そのうち帰ってくる”と構えている場合も少なくないのです。
家出した当人にとっては、積もり積もった不安や不満が爆発した形ですが、その心のなかでは「悩みを聞いてほしい」とも感じています。
また、孤独感や孤立感を抱いている場合も多く、探そうともせずに帰宅を待ち続ける姿勢は、家出人にとっては“見放された”と感じられ、事を深刻にしかねません。
特に傷つきやすい思春期の少年・少女の場合、非行や犯罪行為に走る危険もはらんでいます。
配偶者が家出・行方不明になった場合
配偶者が家出した場合、不倫や浮気が発展してしまったケースも多いですが、この場合、当然ながら警察が捜索に動くことはまずないと考えていいでしょう。自力で探そうとしたとしても、連絡を断っていることも多く、困難を極めます。
この他にも、経済的な問題を抱え、「もう家族を養えない」と自責の念に駆られ、身をくらますケースや、育児疲れや産後うつ、介護疲れが動機となるケースも考えられます。
このような状況では、家出された側としては、心配よりも怒りの感情が先行してしまうかもしれませんが、特に経済的・精神的な動機による家出の場合、最悪の結末も想定されます。
いずれの場合でも、いち早く探し出し、腹を割って話し合い、悩みを聞く場を設けることが肝要です。
老人が家出・行方不明になった場合
同居する老人が家出・行方不明になった場合は、徘徊の可能性が高く、行き先のあてもないため、捜索には急を要し、警察への届出も必須です。
このような事案で、事故に巻き込まるなどして、死に至ったケースは、高齢化率が上がるにつれ、年々増加しています。
本意ではないが「GPS」の活用も
認知症の可能性がある老人の家出・行方不明者の行動パターンを読むことはほぼ不可能に近いといえます。
徘徊している当人も、どこへ向かっているのかもわからない状況では、例え電話などで連絡が取れたとしても、場所がどこなのかもわからないケースも多々あるからです。
家族にとっても当人にとっても本意ではないかもしれません。万が一に備え、普段から肌身離さず所持しているものにGPSを取り付けるなどの対策が有効でしょう。
家出されたらまずすべきこととは…
家出人の40%が「当日」に見つかっています
警察庁のデータによると、行方不明者届受理から所在確認までの期間は、「受理当日」が40%、「2日~7日以内」が約30%となっており、いち早く警察に届け出ることがいかに重要かを示す結果となっています。
しかしながら、逆の視点でいえば、1週間を過ぎてしまうと、発見することが困難となってしまうことを示してもいるのです。
警察に捜索をお願いした場合、あるいは警察で取り合ってもらえなかった場合、家族などの行方がわからなくなってしまったら、「携帯に連絡する」「職場や学校に連絡する」「実家や親族・交友関係などとあたる」など、身近だからこそできる捜索が可能でしょう。
また、所持品などから、ある程度の行動範囲を絞り込むことも可能です。
家出の「再発」を防ぐために
根本的な問題が解決しなければ家出は「再発」する
幸い、家出し行方不明となった家族が無事見つかったとしても、頭ごなしに責めるなど、その後の対応を誤ると「再発」の危険性が高まります。
「なぜ、このような事態を招いたのか」を、家出した当人の気持ちになって考え、思い当たる原因があれば、きちんと話し合いをして、コミュニケーションを深め、心のケアに務めることが、最善の再発防止策となります。
前述したとおり、家出する人は精神的ストレスを抱え、それが爆発したケースがほとんどです。
例えそれが、経済的な理由だったとしても、周囲の人が普段から和やかなに接していれば、ストレスが爆発してしまうことも避けられるはずです。
特に、コロナ禍を経験し、ストレスフルな生活を強いられた現代に生きる全ての人が、程度の差こそあれ、鬱憤をため込んでいます。
身近な人が家出・行方不明者となることは、もはや他人事ではないのです。自分のストレスを他人にブルけていないか、自分が抱えるストレスを上手く消化できているか…など、他人との関わり方やコミュニケーションを、改めて考えてみることも大切です。「探偵に依頼する」ことのメリット
行方不明事案の発生から1週間以上経過すると、発見率が大幅に下がってしまうことから、家出・行方不明者の捜索は初動が大切です。
警察への届出、自力での捜索に加え、探偵に依頼することで、多彩な人探しのノウハウによって、家出・行方不明者を探し出す可能性を探ります。
そのためには、ご依頼者から、家出・行方不明者を探すためのあらゆる手がかりや情報を提供していただくなどのご協力が必要です。
当事務所では、家出・行方不明者が見つかった場合、再発を防ぐためのアフターサービスも承ります。当人の人権を侵さない範囲で、お悩みを聞くなどのコミュニケーションや、場合によっては治療に導くケースもあります。
また、ご依頼者の側に立った家族問題などのトラブル相談も承っております。
まとめ
家出・行方不明者には、それぞれ他人には言えなかった悩みを抱えています。その内容は、もしかしたら家族でも警察でも探偵でも解決できないものかもしれません。
しかしながら、親身になってお話を伺うことで、抱えているストレスを減らすお手伝いはできるものと考えています。
身近な人が家出・行方不明となった場合、再発防止のためのアフターサービスも含めた家出(失踪)調査の専門家にご相談ください。