「離婚の手続きはどのように行う?」
本記事ではこのような疑問をお持ちの方に向けて、失踪した行方不明の夫と離婚する条件や方法を解説します。
配偶者が失踪した場合、正しい手順を踏まなければ、手続きが進まず、離婚が成立しないトラブルにもなり得ます。
失踪した夫との離婚を確実に成立させ、人生のリスタートを目指しましょう。
目次
失踪して行方不明の夫と離婚できる?条件を解説

失踪して行方不明になった夫と離婚する際に挙げられる条件は主に以下の通りです。
それぞれの条件を確認し、ご自身が離婚できる状態にあるのか確認しましょう。
悪意の遺棄が認められた場合

悪意の遺棄とは、夫婦として当然行うべき生活の協力や扶助を、正当な理由なく放棄する状態を指します。
- 正当な理由なく別居し、家庭生活に戻る意思が確認できない
- 生活費の支払いを一方的に停止し、家計を放置している
- 家出後に連絡を絶ち、家庭生活を維持するための協力を一切行わない
夫の失踪に特別な理由がなく、家庭生活を維持する意思が確認できない場合は、悪意の遺棄として判断されることがあります。
悪意の遺棄は、法的に離婚が認められる法的離婚事由の一つです。
そのため、失踪という夫の行動が悪意の遺棄として認められれば、離婚ができます。
所在不明と認められた場合

夫が所在不明と認められた場合も離婚が可能です。
所在不明と認められるためには、一定の調査を行い、それでも連絡や所在が確認できない事実を示さなければいけません。
単純に「家を出て連絡もつかない」というだけでは所在不明とは認められないので留意しておきましょう。
また、自力での捜索だけでは「どこを調べたのか」「どの範囲で連絡不能なのか」を客観的に示すことが難しい場合があります。
そのため、所在不明の認定を得るためには、調査経過や結果を正式に記録として残せる探偵の調査が重要です。
探偵が行う所在調査は、確認できた事実が報告書としてまとめられ、裁判手続きで「所在不明であることの根拠」として利用できます。
手続きが進まないリスクを避けるためにも、早い段階で専門家の調査を取り入れて状況を整理しましょう。
なお、所在不明で生死も分からないまま3年以上経過した場合は「3年以上の生死不明」という法的離婚事由としても離婚が可能になります。
失踪宣告が認められた場合

失踪宣告は、夫が生死不明の状態で長期間連絡が取れない場合に、法律上「死亡したもの」とみなす制度です。
一般的な失踪では7年間、災害や事故など特別な事情がある場合は1年間連絡が途絶えていることが条件になります。
失踪宣告が認められると、婚姻関係は法律上終了し、戸籍上は「死別」という扱いになります。
死亡したものとみなして婚姻関係が消滅するだけで、実際に離婚しているわけではない点に注意が必要です。
つまり、もし夫が生きて失踪から帰ってきて、失踪宣告の取り消しがされれば、婚姻関係は復活します。
このような理由から、失踪宣告は離婚を目的として利用される制度ではなく、実務上も用いられるケースは多くありません。
失踪した夫と離婚する場合は、失踪宣告を認めてもらうのではなく、悪意の遺棄や所在不明を理由にしましょう。
失踪した行方不明の夫と離婚する全ケースまとめ

失踪した行方不明の夫と離婚する全ケースをまとめました。
今後どのような形で離婚するのかイメージし、スムーズな手続きができるようにしましょう。
所在が判明した場合は悪意の遺棄で離婚

大前提として、失踪した夫と離婚する場合、まずは失踪したことを認めてもらうために、所在調査が必須になります。
調査をして、実際に夫の所在が判明したとしても、多くの場合で離婚をすることは可能です。
夫が失踪するケースの多くは「家庭生活のための協力を行わない」「生活費の支払いをせず家計を放置している」といった悪意の遺棄に該当します。
そのため、夫の所在が判明した場合は「悪意の遺棄を裁判所に認めてもらう」という方針で離婚手続きを進めていきます。
所在が分からない場合は所在不明と認定されれば離婚

所在調査を行っても夫の居場所が確認できない場合は「所在不明」を理由に離婚が可能です。
しかし、所在不明と認定されるには「探したけど見つからなかった」ということを客観的に示す証拠が必要です。
裁判所は、所在確認のためにどのような行動を取ったのか重視するため、捜索した内容を記録として残しておくことが重要になります。
自力での捜索では、客観性がなかったり、所在確認の努力が足りないとして、離婚を認めてもらえない可能性もあります。
そのため、探偵に捜索を依頼したうえで、捜索したことを示せるような書類・記録を作成してもらうことが大事です。
これによって裁判所が所在不明と判断すれば、公示送達という手続きを経て、離婚を成立できます。
生死が不明なまま3年以上経過したら離婚

夫の生死が3年以上確認できない場合は、民法で定められた離婚事由に該当します。
この離婚事由は、夫婦関係を継続することが難しい状態と判断されるため、裁判で離婚が認められる可能性があります。
ただし、家庭内で発生する失踪の多くは、事件性がある生死不明ではなく、本人の意思で連絡を絶つ場合が多いです。
また、前述の手段で、3年を待たずとも所在不明と認定されれば離婚はできます。
そのため、3年間の経過を待つのではなく、所在調査を行い、悪意の遺棄や所在不明を理由として手続きを進める方法が一般的です。
どの理由で離婚を進めるかを判断するためにも、調査状況を整理し、必要に応じて専門家に相談しながら進めましょう。
離婚手続きにおいて探偵の所在調査が重要な理由

失踪した夫と離婚する際の手続きでは、探偵の所在調査が非常に重要になります。
以下に探偵の所在調査が重要な理由をまとめました。
裁判所は所在確認の努力を必ず要求する

離婚手続きを進めるうえで、裁判所は「相手の所在を確認するためにどのような行動を取ったのか」を必ず確認します。
相手の所在地が分からないままでは調停も裁判も進行できないため、まずは所在確認の努力が必要になります。
そこで探偵による所在調査を行うことで、訪問先・調査日時・連絡状況などを報告書として整理することが可能です。
結果的に、所在確認の努力を客観的に示す資料として提出でき、離婚を円滑に進められるようになります。
自力の捜索では裁判で使える証拠になりにくい

自力での捜索でも、裁判所に対して所在確認の努力を示すことは可能です。
しかし、自力での捜索では、訪問した日付や調べた範囲を詳細に記録することが難しく、客観性も乏しくなります。
そのため、裁判で証拠として扱われにくいです。
結果的に「せっかく捜索をしたのに離婚できなかった」「失踪しているのにいつまでたっても離婚できない」といった事態になってしまいます。
確実かつスムーズに離婚を進めるためにも、探偵への依頼を検討しましょう。
所在が判明しても「悪意の遺棄」の証拠を集められる

「探偵に依頼すると居場所が分かって戻ってきてしまうのでは?」「戻ってきて結婚生活が続くのは嫌」
このように考えている方もいるかもしれませんが、所在が判明しても、失踪した時点で離婚が成立する可能性は高いです。
失踪という行為は、法的離婚事由である「悪意の遺棄」に該当しやすいためです。
「行われた失踪が悪意の遺棄と示すための証拠」を集める必要が出てきますが、この証拠集めも探偵に依頼できます。
つまり、探偵に依頼すれば、夫が見つかるにしても、見つからないにしても、離婚をするための証拠を集められるということです。
行方不明の夫と離婚する手続きの流れ

行方不明の夫と離婚する場合は、手続きを正しい順番で進めることが重要です。
手続きの全体像を把握し、今後の対応を検討する際の参考にしてください。
1.所在調査を実施する

まずは所在調査を実施しましょう。
所在が判明すれば、協議離婚や調停離婚に進むことができ、話し合いによって離婚が成立する可能性が高まります。
一方で、調査を行っても所在が確認できなかった場合は「所在不明」として裁判手続きを検討する段階に進みます。
このように、所在調査は離婚の進め方を決めるための基礎となる工程であり、以降の手続きに直結する重要なステップです。
2.所在判明後に協議または調停に進む

所在調査によって夫の居場所が確認できた場合は、離婚手続きを進めるために話し合いをするのが一般的です。
最初の段階では協議離婚を検討し、話し合いが整えば合意のうえで離婚を成立させることができます。
夫が離婚を拒否する場合は、家庭裁判所での調停に進み、第三者が間に入る形で話し合いを進めていきます。
なお、離婚を認めてもらうための根拠としては「悪意の遺棄」の証拠が重要です。
「悪意の遺棄」の証拠がないと、調停でも離婚が成立せず、裁判まで進んだ場合に、離婚を認めてもらえない可能性があります。
失踪によって「家庭生活の維持をせず家計を放置した」といえる証拠は事前に残しておき、離婚をスムーズに進めましょう。
3.所在不明が続けば裁判に進む

所在調査を行っても夫の居場所が確認できない場合は、裁判所での離婚手続きをします。
失踪したままだと協議や調停による話し合いができないため、裁判によって離婚の成立を求める方法に切り替えます。
裁判では、これまでに行った所在確認の内容をもとに、夫が連絡を取れない状況にあることを証明しましょう。
所在不明と認められれば、公示送達という手続きを利用し、相手に通知が届かない場合でも裁判を進行させることができます。
裁判による離婚は手続きが複雑になるため、所在確認の記録や調査結果を整理しながら進めることが大切です。
行方不明の夫との離婚で注意すべきポイント

行方不明の夫と離婚を進める際には、手続きが複雑になりやすく、注意しておくべき点がいくつかあります。
離婚の成立だけを目指すのではなく、周囲の状況や権利関係にも目を向けることで、後のトラブルを防ぐことができます。
それぞれの注意点を確認したうえで、離婚の準備を進めていきましょう。
金銭問題は解決しない

行方不明の夫と離婚を成立させても、未払いの生活費や借金などの金銭問題が自動的に解決するわけではありません。
離婚が成立することで婚姻上の義務は終了しますが、それ以前に発生した金銭的な負担については、別途手続きが必要になります。
また、夫が行方不明である場合、生活費の請求や財産分与の手続きが進められず、事実上回収が困難になることがあります。
夫名義の借入や契約内容によっては、離婚後に影響が及ぶ可能性があるため、事前に内容を確認しておくことも重要です。
金銭面の不安を残さないためにも、現在の状況や契約内容を整理し、必要に応じて専門家に相談しながら対応を検討しましょう。
- 弁護士…財産分与・未払い金の請求など法的手続き全般
- 司法書士…相続関係・登記手続きの確認
- 行政書士…離婚や生活関連の書類作成のサポート
- ファイナンシャルプランナー…生活設計・今後の収支見通しの整理
夫の私物を勝手に調べると違法になる可能性がある

行方不明の夫の状況を確認するために、家の中に残された私物を調べてしまうケースは少なくありません。
しかし、夫の同意を得ずに私物やデジタル機器を調べることは、プライバシーの侵害に該当する可能性があります。
また、スマートフォンやパソコンのデータを閲覧すると、不正アクセス禁止法に触れるおそれがあります。
違法な手段で得た情報は、離婚手続きにおいて証拠として扱われません。
夫の行方や生活状況を確認する必要がある場合は、法的に問題のない方法で調査を進めることが重要です。
所在確認や生活実態の調査を適切な手段で行える探偵へ依頼し、安全かつ確実に情報を整理していきましょう。
DVが背景にある場合は安全確保を最優先する

夫の失踪に至るまでの過程で、DVが背景にある可能性がある場合は、離婚手続きよりも自身の安全を確保することが最優先になります。
DVの状況下では、夫が突然戻ってくる可能性があり、身の安全に影響が及ぶおそれがあります。
そのため、第三者と連携しながら安全な環境を確保し、落ち着いて今後の手続きを検討することが重要です。
必要に応じて公的機関に相談し、適切な支援を受けながら対応を進めましょう。
- 警察…緊急時の身の安全の確保
- 自治体の相談窓口…生活面の相談や支援制度の案内
- 配偶者暴力相談支援センター…保護命令の利用に向けた相談
行方不明の夫との離婚に関するよくある質問


所在調査にかかる費用相場は?

所在調査の費用は、依頼内容や調査期間によって異なりますが、10万円〜50万円程度が一般的な相場です。調査範囲が広い場合や追加調査が必要な場合は、費用が高くなることがあります。

所在調査にはどれくらいの期間がかかる?

調査期間は夫の生活状況や失踪した経緯によって異なりますが、数日〜1か月程度が目安です。早期に所在が確認できるケースもあれば、情報が少ない場合は時間がかかることもあります。

どのタイミングで所在調査を依頼するべき?

「自力で探すのは難しい」「もう帰ってくる気配がない」と感じたら依頼しましょう。離婚手続きを進めるためには所在確認が前提となるため、早い段階で調査を行うことが重要です。

離婚したあとに夫が戻ってきたらどうなる?

所在不明で離婚が成立している場合、夫が戻ってきても離婚の効力はそのまま維持されます。離婚成立後に婚姻が回復することはありません。

失踪宣告したあと復活したら婚姻関係は戻る?

失踪宣告が取り消された場合、原則として法律上は婚姻関係が復活します。ただし、第三者と再婚している場合など、状況によっては婚姻の扱いが複雑になるため、専門家への相談が必要です。
失踪した夫の所在調査はファミリー調査事務所にお任せください

行方不明の状況が長く続くと、生活面だけでなく精神的な負担も大きくなります。
夫が失踪していても、適切な手順を踏めば、離婚手続きを進め、現状に区切りをつけることができます。
離婚手続きを進める第一歩は、探偵による所在調査です。
ファミリー調査事務所では、失踪した夫の所在確認から生活実態の調査まで、離婚手続きに必要な情報を集められます。
「離婚したいけどどうすればいいのか分からない」という場合は、ぜひ一度相談だけでもご検討ください。
失踪した夫との関係にけじめをつけるため、一緒に状況を整理し、より良い選択をご提案します。
失踪して行方不明になった夫の所在を掴み、人生をリスタートさせる準備を進めていきましょう。























