公開日:2021/09/14 / 最終更新日:2021/09/16

常態化する資材や商品・廃棄物の不正転売・横流し│社員の実態調査

2018年、産業用や船舶用の配電制御システムの製造・販売する大正12年創業の老舗メーカー「寺崎電気産業」を、ある不祥事が襲いました。当時の銅材買い付け担当社員が、仕入れた銅材などの原材料の転売行為をはたらき、直近3年間で約2億1000万円の利益を得ていたことが発覚。

この元社員は原材料の発注や出入庫管理などを1人で担当。実際に使用した原材料に、転売した原材料を水増しした量を出入庫管理管理システムに入力した上で着服行為を行っていました。同社は、社内調査委員会を設置し、同社員を懲戒解雇処分、業務上横領罪で刑事告訴しました。

こうした行為は顧客や取引先だけではなく、著しく会社イメージを損ないます。この問題を「コーポレートガバナンス(企業統治)」の観点として考えてみたいと思います。

目次│不正転売・横流し相談窓口

「資材や廃棄物不正転売・横流し」とは

発注・在庫管理を1人に任せっきりはNG

先の「寺崎電気産業」での不祥事の場合、資材の発注、入出庫などの管理を1人だけに任せてはいけないという事例です。担当社員に重要な業務を任せきりにし、“替えの利かない”状態にすれば、長年、不正が発覚せず、結果として会社に損害を与えてしまいます。

担当社員を複数人配置し、チェック機能をはたらかせる、厳格な棚卸しを適時行なう、抜き打ち監査を行なう、管理用のデータを逐次監視するなどの体制を整えることは不正防止対策として必須となります。

「物品」を扱うあらゆる会社では“必ず起こり得ること”として考える

「国内企業の不正実態調査」のレポート(2019年)によると、不正が発覚した企業の半数が「金銭・物品の着服や横流し」であることが分かっています。

製造・卸売・小売りなど「物品」を扱うあらゆる事業では、横流しや不正転売が行われることを想定して防止策を講じていくべきでしょう。

「資材や廃棄物不正転売・横流し」の内幕

不正転売・横流しを許す脆弱なシステム

資材の発注、入出庫について、これらの全てを事前に適量を発注することは、製造現場での事情が異なる場合が多く、困難を伴います。これにより、想定よりも多く発注し、資材が残っても、データには記録されません。

これが横流しがたやすく行われる温床となっています。担当社員のさじ加減次第で不正行為が起きるのです。

大手企業では、こうした不正行為をなくすためのシステムが導入され、資材の量にかかわらず、システムを介しなくてはならない仕組みが構築されていますが、中小・零細企業では、まだまだ現場任せになっているのが現状です。

産廃物・売れ残り品・在庫品でも同様の現状が…

先の「寺崎電気産業」のような製造業以外でも「不正転売・横流し」が行われています。代表的なものが「産業廃棄物」です。

自治体がリース契約していたサーバーに付属するハードディスクドライブがネットオークションに出品され、個人情報流出の可能性も含め、事件化しました。

また、食料品の期限切れ商品や、洋服店の売れ残り商品や在庫品などが、産廃業者、場合によっては店員によって、ネットオークションやフリマアプリを通じて不正転売される事例も確認されています。

「内部からの社員統治」には限界も…

抜け穴だらけの“属人的”な管理体制

日本企業の長年の商慣行として、“性善説”に基づいて、社員管理・商品管理がなされてきました。

しかしながら、バブル崩壊以降、日本企業がその体力を失い、リストラの嵐が吹き荒れる中で、明文化されなくとも信頼関係を築いていた労使関係も崩れました。

就業員が、容赦なく仲間を切り捨てる会社を信用しなくなったのです。

また、直近30年にわたり、G8諸国の賃金推移のデータでは、日本だけが賃上げの波に取り残され、横ばいという調査結果も出ています。

これでは、従業員の立場からすれば、「会社への忠誠心」よりも「目先のカネ」に魅力を感じてしまうのも無理はないといえるでしょう。

信用ならない?従業員や取引先

悲しい現実ではありますが、以上のような土壌を鑑み、従業員や取引先を“疑ってかかる”ことで、限定された個人による管理体制に頼らないルール作りや不正転売・横流し予防策を講じていくべきでしょう。

もしトラブルになったら…

もちろん社員教育が第一

このような不正転売・横流しを予防するには、従業員をしっかりと教育していくことが第一です。それでも「人」が管理する以上、問題は起きてしまいます。

その他、取引先との資材出入庫に関しては「データのログ管理」、商品などに関しては「タグ管理」、産廃物に関しては「産業廃棄物処理業・処理施設許可取消処分情報」などが一例として挙げられますが、いずれも100%の安全を保証するわけではありません。

不正社員を洗い出すには

もし、社内で不正転売・横流しが明らかになれば、まずは社内で犯人探しを始めるでしょう。

しかしながら、あまり大っぴらに社内調査をすれば、労使間の信頼関係にヒビが入るだけではなく、従業員同士の人間関係にも悪影響を及ぼす可能性もあります。

メディアやSNSなどで不祥事が明らかになれば、顧客や取引先からの信頼も失いかねません。できれば、秘密裏に調査を始め、不正をはたらいた従業員の処分まで進めたいでしょう。

まとめ

従業員による不正行為の告発先

不正行為を行った従業員が存在したことがわかった場合、もしくは不正が会社ぐるみではたらいていた場合も含め、以下のような告発先があります。

企業の不祥事による消費者の被害拡大を防止するために通報する行為は、法律上、正当な行為として解雇などの不利益な取り扱いから保護されると明記されています。加えて、企業にとっても、事件の早期把握と自浄作用により、企業イメージを維持・向上させることができる制度として制定されています。

それでも解決が難しく、訴訟問題に発展しそうなほどのトラブルに巻き込まれたときは、不正転売・横流しなどの従業員による不正行為の証拠収集の専門家であるファミリー調査事務所にご相談下さい。

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