覆面調査は「産業スパイでは?」と誤解されがちですが、合法的に企業の実態を把握する重要な手段です。
調査目的や方法によっては違法と判断されることもあるため、正しい知識が必要です。
目次
覆面調査と産業スパイはどう違うのか?

そもそも覆面調査とは?
覆面調査とは、調査対象に気づかれないように行う調査方法のひとつです。
主に店舗の接客サービスや、社員の勤務実態、競合の行動確認などに使われます。
「調査」といっても、一般のお客さんを装って見たり聞いたりするだけの、**違法性のない調査**が基本です。
産業スパイにあたるケースとは?
「産業スパイ」とは、企業の内部情報や技術を不正に入手・流出させる行為を指します。
たとえば、競合企業に社員として潜入したり、取引先を装って機密情報を聞き出したりすると、**産業スパイ行為とみなされる可能性**があります。
目的や手法を間違えると、大きなトラブルになることもあります。
違法になるライン(不正競争防止法・プライバシー侵害など)
調査とスパイ行為のちがいは、「**法律に触れるかどうか**」がポイントです。
不正競争防止法では、企業秘密の不正取得や持ち出しを禁止しています。
また、盗聴・盗撮・なりすましによる侵入などは、プライバシーの侵害や不法行為とされるおそれがあります。
安全な覆面調査を行うには、**法的知識と経験をもつ探偵や専門家の力**が不可欠です。
産業スパイの事例

企業内部の情報漏えいやスパイ行為によって社会を揺るがす事件が、これまでにもいくつも報道されています。
調査との違いやリスクを理解するために、代表的な事例を知っておきましょう。
IBM産業スパイ事件
アメリカFBIは、IBMの新型コンピューターに関する機密情報を、日本企業の関係者が不正に取得したとして、日立や三菱電機の社員らに逮捕状を出しました。
現金を渡して情報を得る「産業スパイ行為」が行われていたとされ、FBIがIBM社員を装って行ったおとり捜査も大きな話題となりました。
引用元:IBM 産業スパイ事件 | NHK放送史(動画・記事)
ベネッセ個人情報漏えい事件
2014年、ベネッセコーポレーションから顧客情報が外部に漏えいした事件です。
グループ会社の委託先社員が、顧客の名前や住所などを不正に持ち出し、名簿業者へ販売していたことが判明。不正競争防止法違反で逮捕されました。
管理体制の甘さと情報管理の難しさが浮き彫りになった事件です。
かっぱ寿司情報不正取得事件
2022年、かっぱ寿司の当時の社長が、競合のはま寿司の営業情報を不正に入手したとして、不正競争防止法違反の疑いで逮捕・書類送検されました。
退任の発表とともに、企業の信頼回復に向けた経営体制の見直しも進められました。
引用元:かっぱ寿司社長 不正取得で辞任 – ITmedia ビジネスオンライン
トヨタ元社員による社外持ち出し事件(2024年)
2024年、トヨタ自動車の元社員が、社内技術資料を私用USBで社外に持ち出していたとして書類送検されました。
本人は「転職活動の参考に」と主張しましたが、情報の一部には機密性の高い内容も含まれており、不正競争防止法違反の可能性があるとされています。
大企業でも情報管理の徹底が求められる現代のリスクを象徴する事例です。
相談事例|こんな覆面調査が必要とされた

事例1:スタッフの不正行為を確認したい(飲食店経営者)
「売上とレジの金額が合わない日がある」との店長からの報告。
経営者が不安になり、覆面で調査を実施。
調査の結果、アルバイトがドリンクを無断で提供していたことや、金銭の着服が判明。
証拠を元に改善指導と再発防止策を実施することができた。
事例2:競合が自社の顧客を奪っている(業界トラブル)
取引先との関係が急に途絶え、調べてみると特定の競合と取引を始めているとの情報。
調査を依頼したところ、元社員が競合企業に情報を流していたことが明らかに。
顧客リストの無断持ち出しや接触記録が確認され、法的対応につながった。
事例3:元社員が社外機密を持ち出した疑い(法人トラブル)
退職後すぐにライバル企業で同様の製品開発を行っていた元社員。
覆面調査によって、展示会や営業活動において、明らかに前社のノウハウを使用している様子が確認された。
客観的証拠を押さえたことで、警告書送付と損害請求に発展した。
探偵が行う合法な覆面調査の方法

実店舗・従業員の接客調査
飲食店や小売店などで、スタッフの接客態度やサービスの質を確認するために、お客として訪問する調査です。
実際に商品を購入したり、サービスを受けたりして、問題点や不正行為がないかを記録します。
法律に触れず、対象に気づかれない自然な形で行えるのが特徴です。
競合店舗の価格・サービス調査
競合他社がどんな価格設定やサービスをしているのかを調べるために、一般客として訪問する調査です。
情報を整理することで、自社の改善点や差別化のヒントが見えてきます。
公開情報や実際の体験に基づいて行うため、違法にはなりません。
ターゲットと接触せずに行う「情報取得」
直接話しかけたり名乗ったりせず、距離を保ったまま行う調査方法です。
たとえば、立ち寄り先の確認、行動パターンの把握などがこれにあたります。
身元を明かさずに情報を収集でき、相手に心理的な圧を与えないのもメリットです。
注意!こんな調査はNGになる可能性も
録音・撮影の許可がない場所での証拠収集
公共の場での録音や撮影は原則自由ですが、私有地や店内、会社内では「撮影禁止」の場所も多くあります。
無断で録音・撮影を行うと、プライバシーの侵害や違法行為と判断されることがあります。
正しい方法で記録を残すには、調査前に法的な確認が必要です。
虚偽の身分を名乗って侵入する行為
たとえば「取引先です」と偽ってオフィスに入り込むような行為は、
詐欺罪や建造物侵入罪にあたる可能性があります。
覆面調査とはいえ、身分や所属を偽る行動にはリスクが伴います。
調査の範囲をしっかりと見極めることが重要です。
機密情報を引き出そうとする行為
探偵が対象者に話しかけ、企業秘密や顧客情報を引き出す行為は、
不正競争防止法違反に該当するおそれがあります。
たとえ情報を得られたとしても、その取得方法が違法であれば証拠として使えません。
情報収集は「合法・安全・客観的」が鉄則です。
探偵に企業の覆面調査を依頼するメリット
社内の人間や外部の関係者が覆面調査のような情報収集を行なうと、
身元がバレやすく、調査が失敗に終わるリスクもあります。
だからこそ、中立的な立場の探偵に依頼するのが安全で効果的です。
ここでは、企業が探偵に覆面調査を依頼することで得られるメリットをわかりやすくご紹介します。
守秘義務があるから依頼者情報が漏れない
探偵は法律に基づいて守秘義務を守る立場にあります。
そのため、依頼者や企業名が外部に漏れる心配はありません。
一方で、社内スタッフや知人を使った調査では、調査内容がうわさとして広まってしまうリスクもあります。
情報漏えいを防ぐためにも、信頼できる探偵への依頼が安心です。
探偵は第三者だからバレにくい
探偵は依頼企業とまったく関係のない立場で行動するため、
調査対象から依頼主が誰かを特定されにくいのが大きな利点です。
特に競合や取引先への調査では、調査の事実が相手に知られると関係悪化にもつながります。
リスクを最小限に抑えながら事実を把握するなら、プロの調査員に任せるのがベストです。
覆面調査のご相談
匿名でも相談できます
はじめての方でも安心してご相談いただけるよう、
匿名でのご相談・ご質問にも対応しております。
「こんなこと聞いて大丈夫?」と思う内容でも、遠慮なくご相談ください。
調査の目的や内容をしっかり確認
調査の目的や対象によって、調査方法や費用が変わってきます。
ご相談時に、わかる範囲でご事情をお聞かせください。
無理に依頼をすすめることはありませんので、ご安心ください。
オンライン・全国対応のご相談体制
お電話・メール・LINEなど、相談方法を選べます。
オンライン対応だから全国どこからでも相談可能。
ご都合のよい時間帯で、無理なくお話をお伺いします。
覆面調査に関するお問い合わせは、以下のページより受付中です。

執筆/監修者:Kazuya Yamauchi2025年7月10日
探偵調査歴20年。国内外の潜入調査、信用に関する問題、迷惑行為、企業や個人生活での男女間のトラブルなど、多岐にわたる問題を解決してきました。豊富な経験と実績を基に、ウェブサイトの内容監修や執筆も行っています。