一般的に「投資詐欺」とは、リターンが見込める見通しがないにも関わらず、「確実に儲かるなど」と虚偽かつ断定的に勧誘し、資金を投資させたうえで姿をくらますなどの詐欺です。
未公開株や新株発行、FXなどの外国への通貨、事業への投資や社債、仮想通貨への投資、また最近では、新型コロナウイルス関連の給付金・助成金に関する詐欺なども目立っています。
以前は被害者の多くは高齢者だったものの、最近では若年層もターゲットとされています。加えて、政治家や芸能人、企業の経営者ですら騙されてしまうケースも存在します。
詐欺の首謀者は海外に住んでいたり、海外に逃げるケースも多く確認されています。このように、詐欺に遭い、海外に逃げられたときに、どのような対応が必要か解説します。
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目次
ノーリスクは見せかけ
「ノーリスク」とうたうこと自体が違法
投資詐欺は、刑法上の詐欺罪に該当します。
「疑罔行為(嘘をつく)」「錯誤(騙す)」「財物の交付(金品を詐取)」「その因果関係(騙された上での金品の支払い)」といった要件をみたす場合に詐欺罪になります。
また、法律上、投資の助言や代理を行なう場合には、金融商品取引法上の登録を受けなければなりません。しかし、投資詐欺の事例では詐欺師側がこの登録を受けていないことも多く、その点でも違法となります。
さらに、出資法では不特定多数の者に対して元本保証をして、出資の受け入れをすることを禁止しています。投資詐欺師は元本保証をすることが多いですが、これも違法になります。
つまり、出資や投資を促す際に「ノーリスク(元本保証)」をうたうこと自体、違法なのです。しかしながら、投資についてある程度の知識がある人でさえも騙されてしまうほど、投資詐欺の手口は巧妙です。
“まさか自分が…”の現実
投資詐欺なんて自分とは関係のないことと思っている人ほど、逆に警戒感が薄いので、投資詐欺の格好のターゲットとなってしまいます。
投資詐欺の被害に遭った多くに人が「まさか自分が…」と口にすることが現実です。
インターネット上では「必勝法」や「有益な情報」をうたう情報商材も数多く販売されていますが、冷静に考えれば本当に必勝法があったら市場は成り立ちません。
そんな儲け話があるなら人に売らずに自分で稼げばいいだけです。
しかし、自分は詐欺とは無関係と決め込んでいる人はそれらの情報を疑うことなく鵜呑みにして、結果、投資詐欺の被害にあってしまうのです。
詐欺師の特徴
投資セミナーの実態
コロナ禍による経済状況の不安定さと、近頃の政府による投資喚起策も相まって、「投資セミナー」が滑翔を呈しています。
毎日、どこかの会場で開かれているといっても過言ではないでしょう。
もちろん、証券会社や信託銀行など、ある程度、信頼のおける企業が開催しているセミナーであればいいですが、なかには運営会社や講師に関する情報に関して何も情報を示さない、あるいは虚偽の情報を示しているセミナーは要注意です。
悪徳の海外投資セミナーのなかには、最終的には海外ファンドに投資させることが目的であり、こうしたセミナーの特徴は「まずは不安をあおる」ことから始まります。
そして、老後の資産形成の話につなげ、日本の財政は借金が多く、このままハイパーインフレが起こるなどと発展し、最終的には「日本は国家破綻する」などと不安をあおり投資に持ち込もうとします。
このように、悪徳投資セミナーは前半で「不安をあおる」、後半で「投資話を持ち掛ける」という「2部構成」で成り立っています。
セミナーのみならず、投資への勧誘全般でこうした「2部構成」で話を展開する投資詐欺師は多く、最初に不安をあおられたときには注意が必要です。
詐欺師は、セミナーではスーツ姿でいかにも“デキる”雰囲気を醸し出しますが「商品の詳細を説明しない(できない)」という特徴もあります。
とあるセミナーでは、「年○%のリターンを上げる」と言いながらも、具体的に「どの銘柄にどれくらいの配分で投資するのか」の説明がなく、詐欺が発覚した事例も報告されています。
元アイドルやインフルエンサーも…
2021年には、元SKEのメンバーがマッチングアプリを通じて「バイナリーオプション(オプション取引を元にした金融商品)」の話を持ちかけ、複数の男性からお金を騙し取ったというニュースもありました。
加えて、上記のような悪徳投資セミナーでは、“自称インフルエンサー”が登場し、「買いあおり」をする事例も存在します。
このインフルエンサーの目的は、特定の銘柄を購入後にSNSで買いあおり、ツイートを見た個人投資家が購入し株価が上昇したところで売却し、利益を得るところにあります。
このように「投資系」詐欺師はセミナーのみならず、マッチングアプリを使った「ロマンス系」やSNSにも進出しています。
日本ではやり切った詐欺師
稼いだ詐欺師が向かう国とは
先ごろ、政府の持続化給付金を騙し取った詐欺の疑いで、警視庁に指名手配されていた容疑者が、インドネシアで確保され逮捕されました。
この容疑者はセミナーなどで「誰でも持続化給付金が受給できる」などとうたい、申請に必要な書類の作成や手続きを家族らに指示し、総額約10億円もの不正受給を首謀していました。
悪事を家族に手伝わせ、自分だけインドネシアに逃亡していたことになります。
警察の調べでは、この容疑者は不動産業を営んでいた約10年前にも、虚偽の内容で銀行に住宅ローン融資を申し込み、約3000万円を騙し取ったとする詐欺容疑で逮捕されていたことがわかっています。
この容疑者のように、詐欺師が海外逃亡先に選ぶ国としては、警察組織が正常に機能していない「インドネシア」や「フィリピン」などの「東南アジア」や、税金がないうえにマネーロンダリングが容易な「UAE」や「カタール」などの中東諸国が挙げられます。
逃げ得を許す日本の制度とは
このように、詐欺師が海外に逃げる傾向にある根底として、日本政府が2カ国(米国と韓国)としか「犯罪人引き渡し条約」を締結していないことが挙げられるでしょう。
犯行後に日本国外へ逃亡した場合、容疑が明らかで現在の居場所がわかっていても、国外に日本の司法権が及ばないために、逮捕して日本で裁判にかけることができず、また逃亡先の国でも裁判にかけられない。
国外へ逃亡してしまえば処罰されないため、逃げ得となっている現実があるのです。
逃げ得は許さない!
“高飛び”されてもあきらめないこと
例え、このように出資した詐欺師に“高飛び”されてしまった場合や、詐欺会社が突然なくなっているという場合でも、日本滞在時の住所などを手掛かりに、詐欺師の行方を追える可能性が高まります。
詐欺師を提訴したり、警察に被害届を提出する際にも、詐欺師の名前や住所の特定は必須となります。
逆をいえば、住所がわからなければ、警察でも捜査のしようがないといってもいいでしょう。
被害に遭った人が大人数であれば、刑事事件として告訴状を提出することも可能となります。
海外での人探しとは
詐欺師に限らず、海外における人探し・行方・所在調査は、現地の言葉や地理、治安事情に精通した調査員に加え、現地の日本人コミュニティーやコーディネーターなどに協力を仰ぎながら、日本から派遣した当事務所の調査員が捜索します。
被害の回復は難しいが…
投資詐欺の返金方法のプロセス
投資詐欺の被害に遭ってしまった場合の返金請求、不法行為に基づく損害賠償請求権として請求することが多いです。
前述の通り、投資詐欺の多くは詐欺罪に該当する違法行為であり、詐欺師が金融商品取引法上の登録を受けていなければ無登録の投資勧誘となり、これも違法行為です。
元本保証をして投資をさせた場合は、出資法違反となります。
このように投資詐欺の被害にあった場合には、違法な行為により、財産権などの権利を侵害されて、損害を被っていますので、不法行為に基づく損害賠償請求ができます。
返金請求は弁護士の仕事
これらの返金請求方法は、全て弁護士によって行なわなければならないとされています。しかしながら、詐欺師の所在がわからないことには、何も始まりません。
そもそも、その詐欺師に返金能力がなければ被害回復は困難とも思えます。
しかしながら、2次被害を生ませないためにも、こうした詐欺師を追及していくことには意味があると断じることはできます。
もしトラブルになったら…
無登録の事業者による詐欺的な投資勧誘のほか、暗号資産・未公開株・社債・外国通貨・事業への投資話など、詐欺師による投資トラブルについては、以下のような相談窓口が用意されています。
詐欺師は常に投資詐欺の対象を探しています。いつどこで、詐欺の対象になるかわかりません。
投資の経験がある・ないにかかわらず、どんな方でも投資詐欺にあう可能性があるといえます。
同じ被害者から報告が数多く寄せられていれば、警察が動く可能性もあるでしょう。被害者同士で連携しての集団訴訟提起などの手段も考えられます。
詐欺師を野放しにしないためにも、投資詐欺トラブルに巻き込まれたときは、詐欺被害の証拠収集および居場所特定の専門家であるファミリー調査事務所にご相談ください。
執筆/監修者:山内 和也2024年7月22日
探偵調査歴20年。国内外の潜入調査、信用に関する問題、迷惑行為、企業や個人生活での男女間のトラブルなど、多岐にわたる問題を解決してきました。豊富な経験と実績を基に、ウェブサイトの内容監修や執筆も行っています。