「実家の空き家に知らない人が住んでいる」
「相続した土地に勝手に小屋を建てられている」
「管理していない物件に不審者が出入りしている」
このような問題でお困りではありませんか?
不法占拠は、適切に対処しなければ長期化し解決がより困難になります。
しかし、多くの所有者が「誰に相談すればいいのかわからない」「法的手続きが複雑すぎる」といった理由で問題を放置してしまっているのが現状です。
本記事では、不法占拠問題の基本から解決方法、さらに探偵がどのように問題解決に役立てるかまで詳しく解説します。
目次
不法占拠の基本情報
不法占拠といっても、わからない点が多いですよね。
そこで、不法占拠についてまとめてみました。
- 不法占拠とは
- 不法占拠される原因
- 不法占拠の解決方法
- 不法占拠を解決するまでの注意点
順に見ていきましょう。
不法占拠の意味:他人の物件を無断で使うこと
不法占拠とは、正当な権利なく他人の土地や建物を占有する行為のことです。
法的には、民法上の「占有」(物や土地を自分のものとして利用すること)に関する問題で、所有者の権利を侵害する行為とされています。
- 賃貸借契約終了後の継続居住
- 空き家への無断居住
- 他人の土地への無許可でのプレハブ設置
- 駐車場への長期間の無断駐車
- 農地への不法投棄と占拠
- 廃墟への住み着き
- 別荘への不法侵入・居住
不法占拠は、刑法上では「建造物侵入罪」「不動産侵奪罪」に該当する可能性があります。
民事上では、「不法行為」として損害賠償請求の対象になります。
不法占拠の原因:空き家・相続問題・経済的困窮
不法占拠されてしまう主な原因は、次の3つです。
- 空き家を管理していない
- 高齢化に伴う複雑な相続問題が解決しない
- 経済的困窮者が家を借りられない
管理が行き届かない空き家は、不法占拠者に狙われやすい傾向があります。
総務省の住宅・土地統計調査(2023年)によると、全国の空き家数は900万戸に達し、住宅総数の13.8%を占めています。
特に地方では、空き家率が20%を超えている自治体も珍しくありません。
所有者の高齢化や相続手続きの複雑さから、適切な管理がされていない不動産も不法占拠の標的になりやすいです。
相続登記がされていない物件では人の出入りがないため、不法占拠者が「所有者がいない」と思い込んで住み着いてしまうケースがあります。
経済格差の拡大により、住まいを確保できない人々が増えている点も原因の一つです。
家賃を支払えない・保証人がいないなどの理由で賃貸住宅に入居できない人が、やむを得ず不法占拠に至ることがあります。
参考:統計局(総務省)『令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果』
不法占拠の解決方法:4つのステップ
不法占拠問題を適切に解決するには、法的に正しい手順を踏む必要があります。
感情的になり自力で解決しようとすると、逆に法的トラブルになってしまう可能性があるため注意しましょう。
不法占拠を解決する方法には、4つのステップがあります。
解決までの4ステップ | メリット |
ステップ1. 交渉による任意退去の要請 | 時間と費用を大幅に節約できる |
ステップ2. 占有移転禁止の仮処分申請 | 強制執行に必要な「訴える相手の特定」ができる |
ステップ3. 明け渡し請求訴訟の提起 | 強制執行を申し立てるための条件が得られる |
ステップ4. 強制執行の申立て | 法の力を借りて不法占拠者を退去させられる |
ステップ1として、不法占拠者との直接交渉を試みます。
不法占拠者の事情を聞き、任意での退去を求めます。
なお、トラブル回避のため警察など第三者に同行してもらうのがおすすめです。
交渉が上手くいかなかった場合、ステップ2として裁判所に「占有移転禁止の仮処分」を申請します。
この手続きを行うと、不法占拠者は物件を第三者へ譲渡できません。
仮処分が認められた後、ステップ3として明け渡し請求訴訟を提起します。
不法占拠の事実と所有権を立証し、裁判所に明け渡し命令を求めましょう。
裁判で勝訴しても不法占拠者が任意に退去しない場合、ステップ4として強制執行を申し立てます。
執行官により物理的に不法占拠者を退去させ、物件を取り戻しましょう。
不法占拠解決までの注意点:「自力救済の禁止」
不法占拠問題において、最も気をつけなければならないのが「自力救済の禁止」です。
自力救済とは、法的手続きを経ずに、実力行使によって権利を回復しようとする行為のことです。
つまり、自分の土地・物件であっても、自分だけで不法占拠者を追い出してはいけません。
民法に明記されてはいませんが、法治国家として当然の前提として「不法占拠解決には法的手続きを踏むべき」とされています。
そのため自力救済をしてしまうと、次のような罪に問われる可能性があります。
- 住居侵入罪(刑法第130条)
- 器物損壊罪(刑法第261条)
- 暴力行為等処罰法違反
- 不法行為による損害賠償責任
不法占拠者を早く追い出したくても、次のような行為は行わないようにしましょう。
- 留守中に鍵を変更する
- 所有物を勝手に処分する
- 電気・水道・ガスを勝手に止める
- 物理的に追い出す
- 威圧的な言動で退去を強要する
探偵が不法占拠問題解決で活躍する3つの場面と調査内容
探偵が不法占拠問題解決で活躍する場面は、3つです。
- 不法占拠者の身元や素性を特定したいとき
- 不法占拠している証拠を集めたいとき
- 法的手続きに使える証拠がほしいとき
それぞれの調査内容をご紹介していきます。
1. 不法占拠者の身元・素性特定
不法占拠問題の解決には、占拠者が誰なのかを特定することが第一歩となります。
相手が誰なのかがわからなければ、交渉も法的手続きも進められません。
しかし、不法占拠者は身元を隠している場合が多く、一般の所有者では特定が難しいことが多いです。
不法占拠者の身元や素性特定が難しいケースとして、次のような例があります。
- 身分を隠している・偽っている
- 住民票を移していない
- 偽名を使用している可能性がある
- 複数人で占拠されているとき
そこで、探偵は次のような調査方法で情報を集めます。
- 監視カメラによる行動パターン分析
- 近隣住民への聞き込み調査
- 郵便物や生活痕跡からの身元調査
- 車両ナンバーからの所有者特定
- SNSや各種データベースの活用
- 本名・生年月日・住所履歴
- 職業・収入状況
- 家族構成・人間関係
- 過去の居住履歴
- 同様の不法占拠歴の有無
- 反社会的勢力との関係
2. 不法占拠状況の証拠集め
法的手続きを進めるためには、客観的で説得力のある証拠が不可欠です。
しかし、実際どのような情報を集めればよいのかわからない場合が少なくありません。
証拠の集め方によっては、法的トラブルにもなりかねません。
そのため、次のような点に注意しながら調査する必要があります。
- プライバシー侵害
- 違法な盗撮・盗聴
- 証拠の改ざん
- 適正な証拠の保管・管理
探偵は法律の知識と専門の調査技術を活かし、次のような調査方法で情報収集を行います。
- 専門機材の活用(高性能カメラ・録音機器)
- 長期継続調査(数週間〜数ヶ月の継続記録)
- 法的有効性(裁判で使用可能な形式での記録)
- 客観性を保つ(第三者による中立的な記録)
- 不法占拠者が写った日時入り写真・動画
- 継続的な居住の証拠
- 無断で行った工事などの記録
- 電気・水道などの不正使用
- 騒音・異臭などの迷惑行為
3. 法的手続きに使うための詳細調査
訴訟や仮処分申請には、法的要件を満たした詳細な調査資料が必要です。
探偵は法的手続きを見据えた調査を行い、弁護士と連携して訴訟戦略を立てます。
- 占有開始時期の特定(いつから不法占拠が始まったか)
- 占有の状況(占拠者の特定・継続的占有の立証)
- 占拠者の認識(不法であることを知っていたか)
- 所有者の対応(退去するよう占拠者に伝えているか)
- 損害の算定(経済的損失の具体的計算)
- 登記簿謄本・権利書など
- 占拠状況の客観的記録
- 知っていて占拠している証拠
- 一時的でない継続的占拠の証明
- 占拠者が特定できている証明
探偵による不法占拠調査の具体的ステップ
探偵の不法占拠調査は、次の3つのステップで行っていきます。
- 事前準備
- 実地調査
- 情報分析・共有
一つずつ解説していきます。
ステップ1. 事前準備
調査の成功は、綿密な事前準備にかかっています。
探偵は、依頼者と打ち合わせをしながら調査方針を決めていきます。
事前準備の流れ | 詳細 |
1. 依頼内容の詳細確認 |
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2. 現地状況の予備調査 |
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3. 調査計画の決定 |
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ステップ2. 実地調査
綿密な計画を立てた後、現地での詳細な調査を始めます。
調査方法は主に、監視調査や聞き込み、ネット情報の検索です。
写真や動画は、不法占拠者が居住している証拠になるため、高画質で撮影できる機材で記録します。
また、騒音問題などがあれば迷惑行為の証拠として音声録音も行います。
不法占拠者はゴミなどの異臭問題も抱えているケースがあるため、近隣の声を記録することも重要です。
ネット上には身元などの特定や該当物件に居住している証拠画像が得られる場合があるため、現地調査とあわせて調査します。
監視調査方法の具体的な例は、次のようなものがあります。
- 必要に応じて24時間体制での監視
- 出入りの時間・人数・行動パターン
- 関係者の特定と関係性の調査
- 実際の居住実態の確認
聞き込み調査では、近隣住民だけでなく該当地域で働いている人物からも情報を集めていきます。
不法占拠者に決められた行動パターンがある場合、目撃情報が有力な証拠になることも少なくありません。
- 近隣住民(占拠状況の目撃情報)
- 地域関係者(商店店主、郵便配達員、清掃業者などの情報)
- 行政担当者(過去の通報・相談履歴)
- その他関係者(占拠者と関係のある人物)
ステップ3. 情報分析・共有
集めた情報を分析し、依頼者や関係する専門家(弁護士、警察、行政機関)と共有します。
情報共有までの流れ | 詳細 |
1. 情報の整理・分析 |
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2. 調査報告書の作成 |
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3. 関係者との情報共有 |
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不法占拠解決における探偵と他の専門家との連携
不法占拠問題を解決するために、探偵が連携する3つの専門家についてまとめました。
1. 弁護士と連携
弁護士は、不法占拠問題の解決に欠かせない存在です。
しかし、不法占拠問題解決において力不足な点もあります。
- 身元特定能力の不足(占拠者の身元調査は専門外)
- 証拠収集の限界(継続的な監視調査は困難)
- 調査機材の不足(専門的な撮影・録音機器を持たない)
- 時間的制約(長期間の現地調査は実質的に不可能)
不法占拠問題では、不法占拠者の身元が分からないと訴えることができません。
不法占拠者の身元が分からないと、次のような法的手続きも行えません。
- 身元不明時の問題
- 訴状の送達ができない
- 公示送達の要件を満たせない
- 財産調査ができない
- 強制執行の対象を特定できない
そこで、弁護士と探偵の連携が重要になります。
探偵の役割は次の3つです。
- 法的手続きに必要な証拠収集
- 占拠者の身元・資力調査
- 継続的な状況監視
探偵と弁護士が連携することで、迅速かつ確実に問題を解決できるようになります。
2. 警察と連携
刑事事件の可能性があるケースでは、事件解決のために警察へ探偵の調査結果を提供する場合があります。
- 建造物侵入罪
- 不動産侵奪罪
- 器物損壊罪
- 組織的犯罪への使用の可能性
なお警察は、刑事事件の可能性のない不法占拠問題には対応しない場合が少なくありません。
不法占拠問題は、民事上の問題として扱われることが多く「民事不介入の原則」で警察は介入しづらいのが現状です。
不法占拠者との直接交渉時、警察に同行してもらうことはできるので積極的に相談しましょう。
3. 行政機関と連携
探偵が、不法占拠問題で行政機関と連携する場合は次のようなケースがあります。
- 道路法違反(道路上への不法設置物)
- 建築基準法違反(違法建築物の除去命令)
- 公有財産(自治体所有の土地・建物)
- 環境・衛生問題(公衆衛生に関わる問題)
探偵調査により建築基準法違反や環境問題などの行政案件となる要素があった場合のみ、行政機関と連携します。
行政機関は法令に基づいて動くため、対応できる範囲が限られています。
不法占拠問題は、民事上の問題のため、やはり解決には法的手続きが欠かせません。
不法占拠解決のカギは「探偵による専門調査」
不法占拠の問題を解決するには、「相手が誰なのか」を知ることが重要です。
弁護士は法律の専門家ですが、犯人探しは専門外です。
また警察は「民事の問題」として取り合わないことが多く、行政機関は私有地の問題には対応できません。
不法占拠の問題解決には、探偵の専門調査が役立ちます。
ファミリー調査事務所であれば、豊富な経験から得た調査技術で占拠者の正体を突き止めます。
後の裁判で使える確実な証拠収集も可能です。
調査を終えた後は、不法占拠問題に強い弁護士と連携して法的手続きのサポートもいたします。
不法占拠は、放っておくと解決がより難しくなります。
しかし、専門家の手助けがあれば確実に解決できる問題です。
「誰かが勝手に住んでいる」
「知らない人が出入りしている」
このような問題でお困りであれば、一人で悩まずファミリー調査事務所にご相談ください。
豊富な経験と専門技術により、あなたの大切な財産を守るお手伝いをいたします。

執筆者:米良2025年7月21日
長年の情報収集経験を有し、英語での情報分析も得意とする。豊富な海外調査実績をもとに、国内外の問題を独自の視点で解説します。