「頭痛や不眠は電磁波のせい」と不安をあおり、高額な防止グッズを売りつける詐欺が増えています。
効果のない商品に騙され、
金銭だけでなく心まで追い詰められるケースも少なくありません。
この記事では、被害を防ぐために知っておくべき実態と対策を探偵がわかりやすく解説します。
目次
なぜ「電磁波防止グッズ」に騙されやすいのか

科学的に正しいかどうかを一般人が見極めにくい
電磁波に関する専門知識は難しく、多くの人が効果の真偽を判断できません。
そのため「99%カット」「完全防止」といった誇大表現を信じてしまうケースが少なくありません。
健康不安や恐怖心をあおる広告表現
「電磁波で頭痛が起きる」「子どもに危険」といった不安を刺激する言葉は、冷静な判断力を鈍らせます。
焦りから根拠のない商品を購入してしまう心理が働きます。
SNSや口コミで「体感レビュー」が広がりやすい
「これを使ったら眠れるようになった」「体調が良くなった」といった個人の感覚に基づく体験談は信じやすく、科学的根拠がなくても広まりやすい傾向にあります。
海外での虚偽広告の事例(FTC訴訟)
WaveShield事件
携帯電話の電磁波を「99%カットする」と宣伝していたグッズが、科学的根拠の欠如を理由にFTC(米連邦取引委員会)から提訴されました。
Tecnozone事件
パソコンやテレビの電磁波を防ぐと主張した製品が虚偽広告と判断され、同様にFTCの厳しい訴追を受けました。
処分の結果
いずれの事件でも販売禁止や虚偽広告の禁止命令が下され、違反企業には多額の制裁が科されました。
根拠のない宣伝がどれほど重大な違反とみなされるかがわかります。
日本での対応例
景品表示法・特商法による規制
消費者庁は、消費者を誤認させる広告に対し、裏付けの根拠提示を事業者に求めることができます。合理的な根拠がなければ違法と判断されます。
例えば「電磁波を除去する効果」などを謳った製品に対し、合理的な根拠を示すよう指導された事案もあります。
引用元:国民生活センター
フリマサイトでの違法販売と消費者の反応
メルカリなどでは「ただのアルミホイル」を「電磁波対策」などと高額で販売する怪しい出品も多数見られ、実際にトラブル事例も報告されています。
Yahoo!知恵袋では、ユーザーから「詐欺では?」との指摘もあり、実害がある場合には消費者庁などが対応に動く可能性があるとされます。
日本でも虚偽広告は許されない
広告には合理的根拠が要求され、違反すれば措置命令が行われます。
電磁波とは?人体への影響と“防止グッズ”が広がった背景
電磁波とは、電気が流れるところに発生するエネルギー波のことであり、
総務省によると3THz(テラヘルツ)以下の周波数で発せられるものを「電波」と定義しています。
100kHz以下の低周波では体内に電流が流れて刺激を感じることがあり、治療器にも利用されています。一方、100kHz以上の高周波では体温上昇を引き起こすといわれています。
スマートフォンの電波もこの高周波に属しますが、人体に明確な悪影響を及ぼすほどの強さではないとされています。
国際的には「電磁波とガン」の関連が研究されてきましたが、総務省の「電波の生体影響に関する最新動向」でも、脳や神経系への影響・発ガン性との明確な因果関係は立証されていません。
実際、日常生活にはスマホ以外にも電子レンジ、IHヒーター、電気毛布、ドライヤーなど、多くの電磁波を出す家電が存在し、昔から私たちの生活と切り離せないものです。
それにもかかわらず、近年になって「電磁波防止グッズ」が急増した背景には、スマートフォンの普及と通信の高速化があります。
これにより「電磁波への不安」を利用した新しい市場が生まれ、商業的に注目されるようになったのです。
しかし残念ながら、その市場は玉石混交であり、科学的根拠の乏しい“インチキ商品”も少なくありません。
「電磁波防止グッズ」の真実
効果があるものも存在する
すべての「電磁波防止グッズ」が嘘というわけではありません。
例えば、電磁波シールドメッシュはナイロン糸に銀などをコーティングした素材で、スマートフォンのマイクロ波や低周波の電場を遮断できることが、測定器で確認されています。
布状なのでカスタマイズ性があり、業務用のEMC対策や静電気防止にも活用されています。
同様に、機器用のシールドスプレーなどは実際の電磁波対策として一定の効果を持つケースもあります。
一方で“トンデモ商品”も多数
しかし、Amazonや楽天などのECサイトには「有害な5G電波から守る」と謳う商品が溢れています。これは科学的根拠がないにもかかわらず、“5G陰謀論”に便乗して不安を煽る手口です。
首から下げるペンダントや、体内で消化されるだけのサプリメント、5G防止ローションなどが全身を守るはずもなく、効果があったというレビューも「スピリチュアル的な思い込み」や「プラセボ効果」に過ぎないと考えられます。
中には違法な成分を含むサプリメントもあり、逆に健康被害を招く危険性すらあります。
つまり、「一部には科学的根拠のある対策もあるが、大半は恐怖を利用した詐欺的商品」というのが実態なのです。
「電磁波過敏症」と日本の現状
不安に付け込まれる構図
政府やWHOは「日常生活で受ける電磁波は人体に害を及ぼす証拠はない」と公表しています。
しかし、電磁波過敏症に苦しむ人の中には「国やWHOは真実を隠しているに違いない」と強い不信感を抱く方も少なくありません。
そこへ一部の医師や専門家が「5Gは危険」と発言すれば、その言葉が“お墨付き”となり、不安が「確信」へと変わります。その隙を狙い、詐欺まがいの商品を売り込む業者が後を絶ちません。
日本の法規制は不十分
米国のFTC(連邦取引委員会)のように虚偽広告を厳しく取り締まる仕組みがある国と比べ、日本では「電磁波防止」をうたう商品の広告規制がまだ十分とはいえません。
そのため、効果のない商品が大手ECサイトに堂々と並んでいるのが現状です。
消費者が自己防衛するしかない
残念ながら現状では、消費者自身が正しい知識を持ち、怪しい商品を見抜くしかありません。
「科学的根拠があるのか」「本当に効果を測定できるのか」を冷静に確認し、不安をあおるだけの商品には手を出さない姿勢が大切です。
探偵ができること
情報流出や販売元の実態調査
「販売会社が実在するのか」「運営元はどこにあるのか」など、詐欺グッズの裏側を徹底的に調べます。情報流出の経路や関与者を追跡することも可能です。
口コミやレビューの信憑性確認
ネット上の「体感レビュー」や高評価コメントが、本当に購入者のものかどうかを調査します。やらせレビューや偽アカウントの判別も行います。
消費者トラブルの証拠収集
被害者が泣き寝入りしないよう、
詐欺グループや販売者の実態を証拠として記録します。これにより警察や裁判での対応が有利になります。
弁護士や専門機関への橋渡し
調査結果をもとに、
弁護士や消費生活センターなど専門機関につなぐことが可能です。法的対応まで一貫したサポートが受けられます。
消費者ができる自衛策
科学的根拠のない「万能効果」をうたう商品は疑う
「5G電磁波を完全に防ぎます」「身につけるだけで健康に」など、根拠のない万能効果を強調する商品は要注意
です。少しでも怪しいと思ったら立ち止まって確認をしましょう。
公的機関の情報をチェック
総務省・消費者庁・国民生活センターなどが公表している情報を確認することで、正しい知識を得られます。信頼できる情報源を習慣的にチェックしておくことが安心につながります。
不審な広告は保存して相談
SNS広告やネットショップの怪しい商品ページを見つけたら、すぐにスクリーンショットなどで保存しましょう。証拠を残しておけば、探偵や弁護士、消費生活センターへの相談がスムーズに進みます。
本物を「見極める目」が大切
残念ながら、政府や国家機関の規制が追いつかない限り、誤った情報や陰謀論に便乗した「電磁波防止グッズ」の詐欺商法は今後も形を変えて続く可能性があります。
消費者庁のホームページでは最新の悪徳商法やネット通販トラブルの事例が紹介されていますので、定期的にチェックすることが大切です。
トラブルの告発先
消費者庁では、商品やサービスに関する苦情や相談を専門の相談員が受け付けています。
また、越境消費者センターでは海外通販トラブルについても対応しています。疑わしい広告や商品の情報は、必ず記録を残して相談することが第一歩です。
- 消費者ホットライン「188(いやや!)」
最寄りの消費生活センターにつながり、専門の相談員が対応します。 - 消費者庁ホームページ
最新の注意喚起情報や、悪質商法の事例を掲載。
👉 消費者庁公式サイト - 越境消費者センター(CCJ)
海外通販や国際取引でのトラブルに対応。
👉 越境消費者センター公式サイト
そして何より大切なのは、冷静に立ち止まり「本当に効果があるのか」を見極める力を持つことです。
もし自分だけでは判断できない場合や、すでに被害が疑われる場合には、
探偵による調査で販売元や詐欺グループの実態を明らかにすることも可能です。
確かな証拠を集め、弁護士や専門機関へつなげることで、被害を食い止める道が開けます。
一人で抱え込まず、まずは私たちにご相談ください。

執筆者:Kazuya Yamauchi
探偵調査歴20年。国内外の潜入調査、信用に関する問題、迷惑行為、企業や個人生活での男女間のトラブルなど、多岐にわたる問題を解決してきました。豊富な経験と実績を基に、ウェブサイトの内容監修や執筆も行っています。